木星奪還部隊 ガイアフォース


プロローグ

 地球連邦暦135年。人類の生活圏は木星にまでひろがり、その豊富な資源を礎とした文明は、ヒトは神に近づいたとの錯覚を覚えさせるのだった。

 しかし、ヒトの歴史は依然として戦争を繰り返すことによってしか続けられないでいた。
 西暦2030年、国際連合は発展的解消というかたちで解体となり、新たに地球連邦政府が樹立された。
 20世紀末の冷戦の構図の崩壊は、世界平和実現への大きな一歩を踏み出したには違いなかったが、一方では激化する地域紛争、人工増加による食料危機、石油資源の枯渇にともなう次世代エネルギー問題など、より深刻化の道を進んでいた。
 これらの問題は、従来にまして地球的規模の課題となった。
 当時予想以上にその機能を発揮できずに、実際は評価の低かった国際連合だったが、多数の困難な世界情勢を切り抜けるリーダーシップの存在を求める要請は、おのずとこの機関に集中し、とりもなおさず最大の難関であった各国間の協調が予想以上にスムーズに解消され、ついには団結堅い世界機構の完成を見ることになるのであった。
 特に環境問題は、国境なき重要課題として解決に向かわざるをえない至上命題だった。
 二酸化炭素の増加、オゾン層の破壊、それらによる地球環境の変化は、科学技術と相まって、人類を宇宙に移住させ、地球そのものへの負担を軽減させようという発想に結びついていった。 宇宙への大規模な進出は、地球全体観にたった生命の救済という目的で行われることになったのである。
 しかし、「軍事力によらない宇宙進出」は、結果的に軍事産業界の新たな市場となってしまった。 地球規模の問題解決で一体化した人類の英知は、宇宙空間というより広大な舞台を手に入れると、またしても領土の確保に執着していた時代の狭い見識に立ち返ってしまったからだ。
「再び、人類が一体となり平和な時代を迎えるには、もはや異星人との接触による驚異を迎えるより方法はないのでは……」とは、地球連邦平和研究所の所長にして旧21世紀最高の識者に数えられる故シュウ・エイチョウ博士の言葉である。

 かくも人類は、もって生まれた理性を未だ成長させられずにいたのだった。


オープニング・モノローグ

第1話 「天射抜く巨人」
第2話 「希望の青い閃光」
第3話 「戦いは誰のために」
第4話 「震撼する宇宙の中で」
第5戦 「戦国武将の刃」
第6話 「過去の爪痕」
第7話 「涙では解決しない」
第8話 「運命の選択」
第9話 「つよい魂がほしい」
第10話 「ライバルとは呼べない」
第11話 「メデューサの河」
第12話 「スロットル全開」
第13話 「救出隊出動」
第14話 「射撃の名手」
第15話 「隕石流の影」
第16話 「チームワーク」
第17話 「繰り返される過ち」
第18話 「シグマの亡霊」
第19話 「勝利者とは誰か」
第20話 「再会、教官殿」
第21話 「レジスタンスの沈黙」
第22話 「死神の伝説」
第23話 「めぐり逢う魂」
第24話 「白いラウンドムーバー」
第25話 「わざわいの惑星」
第26話 「新しい仲間」
第27話 「火星の風に吹かれて」
第28話 「出撃!バイソード」

番外編1「サイコバリアー」
設定編1 火星-木星間隕石流の発生メカニズム
設定編2 高周波振動ワイヤー
設定編3 全方位光学偽装

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