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節電開始前―まず何気なく使っていた間の使用量を知る―

 まず、過去1年間に使った電気の使用量を整理してみましょう。筆者は2011年3月の東日本大震災をきっかけに節電に取り組み始めました。以下にご紹介するグラフと表は、その前年にあたる2010年4月分からの1年分です。黒の点線が「電気ご使用量のお知らせ」に記載された月々の電気の使用量です。
 ただ、日数は月により異なるうえ、、土日祝日には使用電力量の検針は行われないため、検針日のずれによる変動もあります。そこで月々の使用量を対象日数で割り、1日の平均使用量を算出、赤の実線で記しました。

2010月間平均使用量
4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
月別使用量 451 345 254 325 281 357 326 276 277 448 410 337
対象日数 33 32 27 32 29 31 32 30 29 33 29 28
日平均使用量 13.67 10.78 9.41 10.16 9.69 11.52 10.19 9.20 9.55 13.58 14.14 12.04

 この表の月別使用量を見ると、5月と3月では、5月のほうが使用量が多くなっています。
 この場合の月は、検針が行われた月のことで、筆者の場合、検針は5日前後に行われています。従って対象となるのは前月の5日前後から当月の5日前後までの使用量です。つまり、5月分ならほぼ4月の使用分、3月分ならほぼ2月に使用した分となります。
 筆者の住まいは、ガスが配管されていない集合住宅です。マンションのセントラル給湯を利用していることを除けば、熱源は電気に限られており、石油による暖房器具の使用も禁止されています。つまり、暖房はすべて電気でまかなっているわけです。そんなことを考えると、真冬の2月より暖房も冷房も要らない5月のほうが電気の使用量が多いということは、そもそもあり得ないことです。ですが「電気ご使用量のお知らせ」に記載された使用量を見ると、上記のような結果もあり得てしまうわけです。
 実際に対象日数の欄にある通り両月には日数で5日の差があり、1日の平均使用量を求めると5月分のほうが少ないことが分かります。このように、「電気ご使用量のお知らせ」に記載された使用量を、そのまま用いて比較すると思わぬ誤差が生じることがあります。そこで、ここでは電気の使用量を比較する場合には日平均使用量(1日の平均使用量)を使用することにします。
 なお、検針日は世帯によって異なります。筆者と違って月の終わりごろに検針が行われる世帯の場合には、おおむねその月の使用分が反映されていることになります。

電気を使う環境―必要な電気器具と在宅時間を確認する―

 前項で触れたように、電気の使用量は季節により変動します。そして変動の要因は、それ以外にもたくさんあります。
 たとえば在宅時間です。それまで毎日出社して遅くまで残業していた人が、在宅勤務に変わったとしたら、その世帯の電力使用量は増えるはずです。その世帯が単身世帯であったなら、変化は劇的なものになることでしょう。また、使用する電気器具を買い替えたり、買い増したりすれば変化は当然起きてきます。ガス暖房から電気専用のエアコンに変更した場合などでは、その差は顕著に表れるはずです。このように、電気の使用量は、その世帯の置かれた環境や使用する電気器具などによって大きく変動します。
 そこで、節電に取り掛かる前に、ご自分の置かれた環境と、使用している電気器具を確認しておきましょう。 以下は節電に取り掛かる前の筆者の環境です。

居住環境

  • 集合住宅(SRC)。10畳程度のワンルーム。
  • ガスが部屋に配管されておらず、電気以外の熱源はない。
  • 給湯のみマンション全体のセントラル給湯を利用。入浴はこれで賄う。

滞在時間

  • 外出は、通常はほぼ連日。1日6~9時間で、「9時5時」の会社員よりは、やや短い。
  • ただし、仕事の都合で在宅の日が続くときもある。
  • 生活は、やや朝にシフトしている。

使用する電気器具

  • 冷暖房ともエアコン。
  • 調理器具は、電子レンジ、IHヒーター、オーブントースター、フィッシュロースターほか。
  • その他の生活家電に食器洗い機、洗濯機、乾燥機、掃除機、アイロンほか。
  • OA機器はデスクトップパソコン3台、ノートパソコン1台、レーザープリンタほか。
  • 通信機器は固定電話2台、FAX1台、携帯電話2台、ADSLモデムなど。

居住地と契約先および種別

  • 東京都区内。電力会社は東京電力。契約は従量電灯B、40A(アンペア)。

電気の年間使用量と年間に生じた料金

  • 年間使用量  4,087kwh。
  • 料金の総額 9,2511円(税込、口座振替割引分差引済)

3段料金が適用された月

  • 8カ月(4、5、7、9、10、1、2、3月)

 当時は、上記のような多様な電気器具を、ただ漫然と使っていました。待機電力という言葉は知っていましたが、たいしたものではあるまいと高をくくっていましたから、たくさんの電気器具がつなげるよう、なるべくたくさんのコンセントのついたテーブルタップをたくさん買ってきて、多くの電気器具はつなぎっぱなしでした。
 あらためて表を見ると300kwh以上の月が8カ月もあります。
 電気料金は生活に欠かせないものであることから、誰でも利用できるよう政策上の配慮がなされています。最低限の利用には安価な料金が確保されている一方、ある水準を超えると通常よりも高い料金が適用されるシステムです。具体的には月間120kwhまでは1段料金として、通常料金より安い単価が適用されます。それを超えてから300kwhまでは2段料金と呼ぶ通常料金の適用となります。そしてさらにそれを超えると、割増の単価が適用となります。
 筆者の場合、いくら電気以外の熱源がないとはいえ、300kwhを超えて3段料金の適用となる月が1年の3分の2に上っていたのですから、やはりやや使いすぎだったようです。もっとも、そんな状態だからこそ、節電のしがいがあったと言えるかもしれません。

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 本欄の企画、構成、執筆は片柳正直堂が担当しました。片柳正直堂は、書籍、雑誌等の取材、執筆、編集、また自費出版のお手伝いなどを扱っています。詳しくは片柳正直堂のページをご覧ください。また下記のお問い合わせフォームからのお問い合わせも受け付けています。