まず知っておきたいこと―何もしなくても電気代は上がっていく―
2011年に発生した東日本大震災に際し、電力供給の危機から計画停電が行われたことは記憶に新しいことです。また、この震災の過程において誘発された原発事故は、事故そのものが与えた影響に加え、国内の電力供給維持のために燃料エネルギーの大幅な輸入増加という結果をもたらしています。そしてそれは、電気料金の値上げという形で電力を利用する側にはねかえってきています。
そんななか、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの利用が叫ばれています。その推進のための費用として2012年8月から、電力利用料金のなかに「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が設定されています。それまでは「太陽光発電促進付加金」として、太陽光発電促進のためにその余剰電力を買い取るための費用が電気料金に組み入れられていました。それが拡大されたもので、負担も増しています。目的は良いことですが、一般家庭でそれまでは月々0円~十数円だったものが、数十円~百数十円へと値上がりしていますから、現実にはこれもまた、電気の利用料金を押し上げる要因となっています。
加えて、2014年4月には消費税が従来の5%から8%へと引き上げられました。これはさらに10%への引き上げが予定されています。
このように、今まで通りに電気を使い続けていると、使用量が増えなくとも電気代はどんどん上がっていくのが現実です。エネルギーの無駄遣いを抑えるといった社会的な要請以外に、今や節電は、家計の維持のためにも必須項目となってきているのです。
電気をどれだけ使っているか―1年間の推移を使用量でつかむ―
節電にとりかかる前にまず知っておかなければならないことは、自分がどれだけ電気を使っているかを知ることです。
月々の電気料金と使用量は、検診日時点での詳細を記した紙が利用者に交付されます。東京電力の場合、左のような「電気ご使用料のお知らせ」(クリックすると拡大します)という前月の領収書を兼ねた紙がポストに投函されます。
電気の使用量は、春夏秋冬かなりの違いがあります。そこで月々の使用量などのデータを記録としてこれを保存し、ノートやExcelなどに整理しておくことで、自身の電気使用量の1年間の推移をつかむことができます。
この「電気ご使用料のお知らせ」には、前年のデータも記載されているので、前月までの書類が保存されていない場合でも、これから毎月データの保存や整理を進めていけば、1年経つころには2年分のデータを得ることができます。つまり、節電開始時にデータの整理を始めた場合、1年後には節電開始前、開始後の1年分のデータの比較ができる状態になるわけです。今までこの「お知らせ」を捨ててしまっていた人は、さっそく次の「お知らせ」から保存して表に整理してみましょう。
なお、ここでは比較に用いるデータは基本的に金額でなく使用量を用います。冒頭でも記したように、料金は変動します。それを比較しても節電の達成度はわかりません。料金の削減は、あくまでも使用量の削減の結果としてもたらされるものと理解しましょう。
