構造設計講座(木造住宅編)
- 構造の仕様を決める。
- 柱、耐力壁の位置を決める。
- 梁の位置を決める。
- 構造計算プログラム入力の準備を行う。
- 構造計算プログラムに入力する。(基本条件)
- 構造計算プログラムに入力する。(形状入力)
- 耐力壁の設計を行う。
- 水平構面(火打ち等)の設計を行う。
- 梁の設計を行う。
- 柱の設計を行う。
- 金物の設計を行う。
- 基礎の設計を行う。
- 構造図を作成する。
木造梁の設計(等分布荷重+4点集中荷重)
べた基礎接地圧(偏心考慮)
自沈層のあるSS試験結果からの地耐力計算
SS試験からの液状化簡易判定
直交梁を考慮した木造地中梁計算
木造寄棟屋根の隅木の設計
鉛直・水平でスパンが違う耐風梁
9.梁の設計を行う。
『Kizukuri』では入力した条件で梁の断面を自動選定させる事が出来ます。
自動計算された梁部材を確認してみましょう。
【検討結果】梁の自動計算結果
※印刷コマンドにて「梁伏図」を選択
入力した条件内で設計出来ない(もたない)部材がある場合はメッセージが表示されます。
まずはNGとなっている部材をOKにしましょう。
NG部材をOKとするには応力を小さくする事です。方法としては以下の2通りによります。
①梁のスパンを短くする。
その梁の途中で意匠的に柱が追加出来るようだったら、柱を追加し、スパンを短くする事で応力は小さくなります。
②荷重を少なくする。
もう一つの方法は部材の配置計画を見直し、荷重を調整する事でOKにする方法です。こちらの方がスマートな方法でしょう。
(1)その梁に取り付いている梁の向きを90度変え、床、屋根の負担荷重を減らす。
(2)上階の柱を受けている(下階に柱がない)場合は、その柱を抜く、または梁の端部側に移動する。
(3)耐力壁付き柱を受けている(下階に柱がない)場合は、その耐力壁の倍率を落とし、短期荷重を減らす。
(又は他の耐力壁の倍率を上げて、その耐力壁の短期荷重を相対的に減らす。)
どの方法にしても全体の荷重は減りません。ある梁に対しての荷重を減らした分は他の部分の負担になります。周辺部材とのバランスを見ながら、調整して下さい。
その他、OKにはなっているものの、納まり上で断面を下げたい梁があったら、材種を変更し、強度を上げる事でも対応出来ます。また、各部材、梁サイズを指定する事も出来ます。
【梁の材種、サイズの変更方法】
・『Kizukuri』のメイン画面で断面を下げたい梁を右クリックします。
梁のプロパティで材種を変更します。材種1(E105-F300)⇒材種2(E120-F330)⇒材種3(LVL-140E)
『Kizukuri』計算から補正が必要な部材や『Kizukuri』では計算できない部材(垂木など)は『Kizukuri-Sub』を使用して計算します。
その他、『Kizukuri-Sub』でも扱えない部位は以下のEXCELシートをどうぞ。
・木造梁の設計等分布荷重+4点集中荷重)
・木造寄棟屋根の隅木の設計
・鉛直・水平でスパンが違う耐風梁
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10.柱の設計を行う。
柱は主に以下の二点に対しての検討になります。
- 圧縮軸力に対して柱が座屈しないか。
- 圧縮軸力により、柱が載っている土台もしくは梁へめり込まないか。
この検討が、『Kizukuri』の計算の中でどの部分にあたるかを確認しましょう。
【検討結果】柱の設計(一覧)※検討前
※印刷コマンドにて「柱の設計(一覧表)」を選択
この一覧表の赤で囲ってある部分は、長期・短期軸力、めり込みに対しての検定比が一覧で表示されています。
それぞれの検定比は以下の式によって求められます。
長期軸力検定比=長期軸力/(柱断面積×柱の許容座屈応力度)
短期軸力検定比=短期軸力/(柱断面積×柱の許容座屈応力度)
めり込み検定比=長期・短期軸力/{(柱断面積-ほぞ面積)×土台・梁の許容めり込み応力度}
NG(検定比が1以上)の部材をOKにするには同じく、部材の強度を上げるか、応力を調整し、小さくする事です。
長期短期軸力に対して、部材の強度を上げる方法ですが、座屈長さは階高で決まってしまうので柱サイズを上げるか、強度の大きい樹種に変更を行うかのどちらかになります。
めり込みに対しては、柱サイズを上げるか、土台・梁の強度を上げるか、または、ほぞのサイズを小さくするかになります。
サイズ・強度を上げるのは簡単ですが、まずは応力を調整する方法で考えてみましょう。
応力を調整する方法は梁の設計と同じ考えです。
- 梁のかけ方を変更し、NGの柱に入る軸力を少なくする。
- NGとなっている柱の周辺に柱を追加し、軸力を小さくする。
- NGとなっている柱に取り付く耐力壁の倍率を小さくし、短期の軸力を小さくする。(又は他の耐力壁の倍率を上げて、その柱の短期軸力を相対的に減らす。)
梁と同じく全体の荷重は減りませんのでバランスを見ながら調整しましょう。
柱の設計で一番、問題にになるのは通常、めり込みです。どうしても調整が効かない場合は、ほぞを3.0cm×3.0cmなどに小さくしましょう。
【検討結果】柱の検討結果
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11.金物の設計を行う。
上部構造における最後の検討は、柱頭柱脚の金物の設計です。金物もKIZUKURIにて、設定した設計条件(金物種類、耐力)から自動的に決められます。入力した金物では耐力が足りない部分はNGが表示されます。
金物の検討結果を見てみましょう。
【検討結果】金物の設計
NGの箇所の対処方向ですが、金物の計算は以下の式で計算されています。
TN = Vs × Bi - N
N : 耐力壁間の押えに有効な長期軸力の合計、Vs : 耐力壁の回転によりおきる軸力の合計、Bi : 浮上がりに対して建物全体が押さえこむ効果を考慮した係数、(出隅 : Bi = 0.8 出隅以外 : Bi = 0.5)
方法としては、その部分の長期軸力を大きくするか、耐力壁の倍率を落とし、引抜き力を小さくするかになります。
ここで注意が必要なのは、金物の検討における耐力壁からの引抜き力計算は耐力壁の耐力から決めらていると言う事です。つまり、梁柱の時のように他の耐力壁の倍率を上げて、その部分の応力を相対的に減らすと言う方法は出来ません。
金物の設計がOKになったら、上部構造の設計は終了です。