構造設計講座(木造住宅編)

 

6.構造計算プログラムに入力する。(形状入力)


Kizukuriメニューバー

『Kizukuri』画面の上にあるツールバーの赤丸で表示してある所をクリックすると下図の画面が表示されます。


Kizukuri入力画面

 黒い画面の中に先に入力した通り名称が左側、下側に表示されており、その交点に白い色の点が表示されています。部材はこの点の部分、点と点の間に配置出来ます。
 画面左側にはメニューバーがあります。ここで入力する階、部材の種類、材料、サイズなどを指定します。


①柱の入力を行う。

 「4.構造計算プログラム入力の準備を行う。」で仮に決めた位置に柱を配置します。
 まず、左側のメニューバーで柱の仕様を指定します。柱用に設定してある材種の2番、サイズは10.5cm角をを指定します。
 次にメイン画面で柱を配置する位置をクリックすると黄緑色の丸が表示され、柱が配置されます。削除する場合は右クリックで削除を指定します。


柱の入力

 同様に各階に配置します。


②耐力壁の入力を行う。

 「4.構造計算プログラム入力の準備を行う。」で仮に決めた位置に耐力壁を配置します。
 まず、左側のメニューバーで“部材”の欄で“耐力壁”を選択し、耐力壁の仕様を指定します。
 耐力壁の仕様は、面材(合板、PB)とスジカイの組合せで指定します。

耐力壁の入力


壁倍率
耐力壁の仕様
面材
スジカイ
1.5倍
30×90片筋交い
無し
30×90(ZorN)
2.0倍
45×90片筋交い
無し
45×90(ZorN)
2.5倍
構造用合板9mm
2.5
無し
3.0倍
30×90たすき
無し
30×90(X)
4.0倍
45×90たすき
無し
45×90(X)
4.5倍
構造用合板9mm + 40×90片筋交い
2.5
45×90(ZorN)
5.0倍
構造用合板9mm + 30×90たすき
2.5
30×90(X)

※Z:スジカイの向き /、N:スジカイの向き \  (建物を右側から、下側から見た向きです。)

 各耐力壁ごとに仕様を指定し、メイン画面で柱と柱の点を順次、クリックし、耐力壁を配置します。同じく、削除する場合は右クリックで削除を指定します。

 同様に各階に配置します。


③壁の入力を行う。

 次に耐力壁以外の壁(外壁、内壁)を入力します。この壁の入力は建物の荷重計算に使用されるデータです。意匠図を見ながら、壁がある位置に入力します。サッシの部分なども荷重を多く見る事で安全側となるように壁を配置します。耐力壁を配置した部分は壁としての重量も自動的に考慮されますので入力は不要です。

壁の入力


 ここで一つ注意点ですが、外壁と内壁とでは重量が違いますが、『Kizukuri』では建物最外周部分が外壁と自動的に認識され、その内側は内壁と認識されます。建物外周部は必ず、壁を配置するようにして下さい。

 壁も同じく、同様に各階に配置します。


★グリッドの増やし方

 さて、部材を入力し始めて、「ここにもグリッドが必要」となる場合があります。 その時はメイン画面の通り名が表示されている部分のグリッドを追加したい箇所の通り名と通り名の間をダブルクリックします。
 以下の入力ボックスが表示されますので分割する寸法を入力し、OKをクリックするとグリッドが追加されます。

グリッドの増やし方

④梁の入力を行う。

 メニューバーは以下のようにします。梁サイズは自動計算をさせますのでオートを選択します。

梁の設定

 次に梁の入力ですが、どこからどこまでを一本の梁にするか、つまり、継手位置を考えて入力します。 柱間ごとに一本ずつ入力してもプログラム内の構造計算方法はかわりませんが、最後に構造図を自動作図する時に調整の少ない図面が作れます。
 以下のルールに従い、継手位置を考慮して梁を配置して下さい。

  1. 一本の梁は4m以下とする。
  2. 筋交い耐力壁の中では継手を作らないようにする。
  3. 吹抜け部(階段室も含む)が外壁に面する部分では継手を作らないようにする。

※KIZUKURI内では柱の箇所の梁を変えますが、実際は柱位置から、梁せいが大きい側に少しずれた位置で梁を継ぎます。

梁の入力

↑ページ先頭へ

⑤床の入力を行う。

 屋根、床の入力は荷重の計算のみでは無く、屋根・床の水平面内方向の検討にも影響するデータに なります。

 屋根・床面の耐力は以下の表になります。

部 位
仕様
単位長さあたりの許容せん断耐力
床倍率
構造用合板24mm以上、根太無し
梁の間隔 1000mm以下
合板継ぎ目に45×45mm以上の受け材
7.84(kN/m)
4.0
屋根
野地板(構造用合板9mm以上)
垂木(45×90mm以上)500mm以下
屋根勾配 30°以下
1.37(kN/m)
0.7
屋根
野地板(構造用合板9mm以上)
垂木(45×90mm以上)500mm以下
屋根勾配 45°以下
0.98(kN/m)
0.5
小屋
鋼製火打ちを2.5㎡に一箇所以上
梁のサイズ105×105mm以上
0.98(kN/m)
0.5
小屋
鋼製火打ちを3.75㎡に一箇所以上
梁のサイズ105×105mm以上
0.59(kN/m)
0.3

※1.その他の水平構面の仕様とする場合は、日本住宅・木材技術センター「木造軸組工法住宅の許容応力度設計(2008 年版)」を参照して下さい。
※2.『KIZUKURI』(在来軸組)Ver5.33 試用版では、水平構面の許容せん断耐力を床倍率で入力する形式と なっていますので、許容せん断耐力(kN/m)を1.96(kN/m)で割った値を使用します。『KIZUKURI』最新バージョンは許容せん断耐力(kN/m)での入力となっています。

 この建物は屋根勾配が30°以下となっており、屋根面は0.7倍、小屋面は火打ちを2.5㎡に一箇所以上設けるものとして0.5倍、2階床は4.0倍とします。階段室は当該階の水平面では床が無いため、床倍率は“0”とします。

床の設定

 左図のメニューバーで建物の各部位ごとに床の仕様(根太向、床の種類、床倍率)を指定し、メイン画面の当該箇所の対角部分をクリックして入力します。
 根太向は荷重が流れる方向のデータになります。屋根は垂木の方向、床は合板の敷き方向になります。

※『KIZUKURI』最新バージョンでは両方向に荷重を流す事が出来ます。

 床の種類は「5.構造計算プログラムに入力する。(基本条件)」の固定荷重で設定した項目を選択して下さい。
 床倍率についてもそれぞれの部位の倍率を選択して下さい。

床の配置

↑ページ先頭へ

⑥特殊荷重の入力を行う。

 建物形状の入力が全て終わった訳ですが、構造計算プログラムには、形状として入力出来ない部分もあります。
 この建物で言えば、バルコニーの手摺、屋根の軒、小屋梁よりも上の外壁部分などです。これらは特殊荷重として直接荷重を入力する形式を取ります。
 『KIZUKURI』では線荷重として梁位置に入力するデータと柱への追加荷重として入力するデータがあり、これらを利用して、荷重として考慮できていない部分の入力を行います。
※柱追加荷重はメイン画面の柱を右クリックし、プロパティを表示すると下図(右側)の画面が表示され、入力できます。

線荷重 柱追加荷重

【 例 】
・バルコニー手摺:500N/㎡×1.1m = 550 N/m
・屋根の軒:770N/㎡×0.6m = 470 N/m
・外壁(Y0通りX6-X10):500N/㎡×1.820m/2 = 460 N/m
・外壁(Y0通りX10-X13):-500N/㎡×1.365 = -680 N/m
・外壁(X0通りY3-Y8):500N/㎡×2.275m/2 = 570 N/m
・外壁(X13通りY3-Y7):500N/㎡×1.82m/2 = 460 N/m
・外壁(X13通りY0-Y3):-500N/㎡×1.365m/2 = -340 N/m

 以上で入力は終了です。この建物でここまで入力した『Kizukuri』のデータはこちらになります。

【検討結果】『Kizukuri』データ(入力終了、計算前)

 『Kizukuri』入力マニュアルはコチラにありますので入力について、その他不明な点はご確認下さい。

↑ページ先頭へ




   【戻る】   【次へ】