構造設計者になるには

 

 それでは、建築構造設計者になるための一般的な道のりを説明します。やはり、ここで重要になるのは、“資格”です。当然、資格を取れば、 構造設計が出来ると言う訳ではありませんが、無くてはならないものです。
 平成18年12月20日に公布された新建築士法では、“構造設計一級建築士”と言う資格が創設され、 “構造設計一級建築士”の資格が無いと小規模な建物の設計しか出来ないと言うことになりました。
 よって、ここでは構造設計一級建築士を取得するまでの流れを説明したいと思います。


1.建築系の大学に入学

 構造設計者になるには、まず、大学の建築系の学科に入学するのが一般的です。

 ここで重要なのは、一級建築士の受験資格にも「国土交通大臣が指定する建築に関する科目(指定科目)を修めて卒業」という学歴要件がある事です。万が一、指定されていない学科 だと遠回りをしなければならないので良く確認が必要です。

 大学では一般的な建築の知識を習得すると共に最低限、構造設計の基礎となる“構造力学”をしっかりと勉強する事が必要です。会社では先輩社員も構造設計を教えてくれると思いますが、やはり、構造設計の基礎となる構造力学を身に付けていない新入社員の面倒見る余裕は無いので 就職までに構造力学は、しっかりと見に付けておいて下さい。

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2.建築・設計会社に就職

 無事に大学を卒業したら、建築・設計会社に就職し、構造設計に携わる事になります。 一級建築士の受験資格にも大学卒業後、2年間の実務経験が必要です。当然、未だ、 資格は取得出来ていないので先輩社員の手伝いをしながら、構造設計を覚えていく事に なります。

 構造設計の仕事が出来る会社としては、主に建設会社(ゼネコン)、住宅・アパートメーカー 、設計事務所があります。その他、構造設計に係る仕事が出来る会社としては、建材メーカー、不動産会社、 確認審査機関、金融機関(構造に関する不動産鑑定)などもありますが、やはり、実際に建物を 設計出来る建設会社(ゼネコン)、住宅・アパートメーカー、設計事務所をお勧めします。

【建設会社(ゼネコン)】
 比較的に大きな建物の仕事が出来ます。一般的に組織も大きいので会社も安定しています。
しかし、自分の経験から言うと建設会社(ゼネコン)の中では、やはり花形部門は工事部門です。 設計部門は工事部門に比べ物にならないくらいの売上しか無いため、会社の中では立場が弱くなって しまいます。下手をすると下請け扱いされてしまいます。
 また、自分で設計すると言うよりも構造設計の外部委託の監理中心になる場合もあります。

【住宅・アパートメーカー】
 名前の通り、住宅中心となり、構造・規模も木造2階建てが中心となります。建物形状・構造も企画化されている事が多く、基本となる建物・構造を企画、これを数多くこなすと言うような 仕事になります。

【設計事務所】
 設計事務所の形態としては、意匠設計から構造設計まで全てを行う総合設計事務所、構造設計のみを行う専業事務所(構造設計事務所)があります。構造設計(専業)事務所は、建設会社や総合設計事務所 意匠専業事務所から構造設計業務を下請けする形になります。

 構造設計(専業)事務所にも1~3人程度の小規模な事務所から、数十人規模の大きな事務所までありますが、比較的に規模の大きい構造設計(専業)事務所を私はお勧めします。 比較的に大きな仕事も出来、また、様々な構造設計者とも仕事をする事になるので見聞を広げられ、優秀な構造設計者となるには一番良い道と思っています。

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3.一級建築士を取得

 就職3年目になると(2年間の実務経験後)、一級建築士の受験が出来ます。後の構造設計一級建築士の受験にも一級建築士の資格が必要です。
 また、言うまでも無く、建物の設計をするには資格が必要なのです。

 一級建築士の試験は、大学で言えば一般教養みたいなもので、それほど難しい試験ではありません。しっかり、勉強しさえすれば合格出来ます。 現在では、日建学院のような学校に通い、勉強をしている人がほとんどのようです。

 また、一人前の構造設計者になるには、日々、構造設計の勉強が必要であり、いつまでも一級建築士の受験勉強をしている暇はありません。一発で合格して しまいましょう。

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4.構造設計一級建築士を取得

 一級建築士資格取得後、5年の構造設計の実務経験を経ると構造設計一級建築士の受験が出来ます。

 平成21年5月27日以降は、高さ20mを超えるRC造や4階建て以上の鉄骨造などの建物は、構造設計一級建築士で無ければ設計出来なくなりました。

 構造設計一級建築士で無くでも構造設計一級建築士の法適合確認を受ければ法的には設計が可能ですが、これらの建物の設計が自ら出来ないのであれば、一人前の構造設計者とは言えないでしょう。

 構造設計一級建築士も資格取得学校の講習がありますが、私が受けた感じでは、日頃の設計業務をきちんと行っていれば特別な受験対策は必要ないかと思います。

 構造設計一級建築士の取得については、コチラも参考にして下さい。

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