構造設計講座(RCマンション編)
- 打合せを行う。
- 略伏図を作成する。
- 設計用荷重を算定する。
- スラブの設計を行う。
- 小梁の設計を行う。
- 柱、大梁の設計を行う。
- 基礎の設計を行う。
- 保有水平耐力の検討を行う。
- 構造図を作成する。
- 計算書をまとめる。
- 確認申請を行う。
9.構造図を作成する。
一般的な構造図の表現方法については(社)日本建築構造技術者協会JSCAのホームページに載っていますので参考にして下さい。
『構造図の見方』
構造図に記載すべき事項については建築基準法施行規則で定められていますが、細かい表現方法については特に明確な決まりはなく、設計者により様々です。
但し、表現についての規定は無くとも、慣例的に、常識的に決まっている事も多いのでその部分については守る必要があります。
構造図は今まで行ってきた構造計算の作業の集大成であり、構造設計の最終的な成果品は構造図になるので最も重要な作業とも言えます。
①各階伏図を作成する。
まずは各階伏図を作成します。基本的には構造図は“伏図(見下げ図)”と言う形で表現されます。“伏図(見下げ図)”とは『3階伏図』であれば、3階の柱・壁、3階の床・梁を一枚の図面に表現します。
これに対して“見上げ図”と言う表現方法もあります。この場合は3階の柱・壁、4階の床・梁を一枚の図面に表現します。施工図(コンクリート躯体図)は一度にコンクリートを打つ範囲を一枚の図面に表現出来るので通常、“見上げ図”で表現します。構造図においても見上げ図で表現する人もいます。
これについてはどちらでもかまわないのですが、見上げ図で表現する場合は、タイトルに“見下げ図”である事を表現しておいた方が良いでしょう。但し、符号については二重で表現しないようにしましょう。
構造図で表現する寸法ですが、施工図においては全ての部材の寸法を表現しますが、構造図ではそこまでは表現しません。躯体の寸法も様々な取り合いや納まりを考慮して決まるものであり、施工図段階で始めて決まるものであり、設計段階ではそこまで詰めきれません。
一般的には小梁などであれば、中央にあれば寸法は無くとも等分に配置するとの意味になり、詳細寸法は特に不要です。また、意匠図から考慮すると判断できるような部分も詳細寸法は不要です。
重要なのは“構造設計の意図”を構造図で伝える事です。
また、各部の納まり(意匠との取り合い、配筋の納まり、施工性)についても図面を書きながら再度、確認しましょう。
【検討結果】各階伏図
②軸組図を作成する。
次に軸組図を作成します。ここで注意が必要なのは軸組図は、その通りの架構を表現するもので断面図ではありません。よって、当然、直交方向の部材(梁、スラブ)の断面は表現しません。
また、描く方向は常に下側又は右側から見た方向で表現します。一貫構造計算プログラムの出力も同じ方向になっていると思います。
このように表現すると①通り、B通りでは立面図と逆になりますので開口の位置などに注意をして下さい。
伏図には気付かない部分も軸組図を書く事によって、問題気付く部分もありますので良く納まりを確認しながら、書きましょう。
【検討結果】軸組図
③部材リストを作成する。
伏図に記入した部材と対比するように全部材の断面寸法や配筋を表現した部材リストを作成します。鉄筋の表現などは建築学会の「鉄筋コンクリート造配筋指針」などに載っているように使用する径により、表現を変えます。
構造計算書と不整合が無い様に良くチェックして作成しましょう。
【検討結果】部材リスト
④その他詳細図や標準図を作成する
その他、架構配筋図や部材リストで記載していない部位の配筋図などを作成します。
また、一般的な仕様などを標準図を添付する事により、省略します。一般的には東京都事務所協会の標準図などが良く使われます。
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10.計算書をまとめる。
最後に構造計算書をまとめます。構造計算書に記載すべき事項も建築基準法施行規則に載っていますので設計方針などを記載し、様々なソフトによる計算書を表紙・目次をつけてまとめます。一式にしてPDFなどにしておくと良いでしょう。
これで全て完成です。
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11.確認申請を行う。
設計行為としては以上で終わりなのですが、建物を建設するには建築確認の手続きをしなければなりません。建築確認審査は行政でも行っていますが、今は日本ERIなどの民間の審査機関が審査します。
申請においては当然、構造設計図書も必要になり、構造計算書と構造図一式を2部(構造計算適合性判定がある場合は3部)提出します。
基本的には建築基準法に適合しているかどうかのみの審査であるのですが、建築基準法のみで明確にならない部分も多く、様々な質疑・指摘が上がってきます。この質疑・指摘に対し、説明を行い、場合によっては計算書・図面の修正をします。
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