給与と税額控除
安倍首相は、「企業の収益が賃金につながっていくことが大切だ。働くみなさんが景気回復の実感を手に入れることができるよう全力を尽くす。」と述べていますが、それを実行できるように法律が後押しをします。
社員の給与を増加させた場合、増加額の10%を、税額控除する制度が以前からありましたが、要件が難しかったので、なかなか適用する会社がありませんでした。今年の改正で、平成24年度を基準年度(24年4/1以後25年3/31までの間に開始する事業年度)として社員の給与を比較し増加した分、増加額の10%を、税額控除できるよう、条件が緩和されて、使いやすくなりました。
法人・個人の事業者に適用されます。
改正点
・適用年度を平成 30 年3月 31 日まで2年延長されました。
・給与等支給増加率 現行5%のところ、平成27年4月1日より前に開始する事業年度については2%
同日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度については3%、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上と段階的に変更になりました。
・平均給与等支給額の比較方法を変更して、現行制度では、日雇いのみを除いて計算していたところを、「継続雇用者に対する給与等の支給額」と、それに係る支給者数に限定して比較することに改正しました。(退職者・再雇用者・新卒採用者を除く)
【例】 4/1から3/31が事業年度の場合
平成25年3月31日決算 平成26年3月31日決算
基準社員の給与総額 社員の給与総額
95,000,000円 97,000,000円
基準平均給与等支給額 平均給与等支給額
3,8000,000円 3,860,000円
95,000,000円<97,000,000円
102.10% UP 2.10%>2%
3,8000,000円<3,860,000円
97,000,000円-95,000,000円=2,000,000円
2,000,000円×10%=200,000円
∴税額控除可能額 200,000円
ただし、中小企業の場合は、法人税額の20%までです。控除しきれない場合は、1年間の繰り越し控除はできます。
上記の例で、平成27年3月31日決算
社員の給与総額 97,500,000円
平均給与等支給額 3,900,000円 であれば
基準年度との比較
95,000,000円<97,500,000円
102.63%UP 2.63%>2%
前年との比較 97,000,000円<97,500,000円
3,860,000円< 3,900,000円
97,500,000円-95,000,000円=2,500,000円
2,500,000円×10%=250,000円
∴税額控除可能額 250,000円
上記の例で、平成28年3月31日決算は、基準年度と比較して3%UP、平成29年3月31日決算及び平成30年3月31日決算の場合は、基準年度と比較して5%UPした場合に適用があります。
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