第236号  給与と税額控除

給与と税額控除

 安倍首相は、「企業の収益が賃金につながっていくことが大切だ。働くみなさんが景気回復の実感を手に入れることができるよう全力を尽くす。」と述べていますが、それを実行できるように法律が後押しをします。

社員の給与を増加させた場合、増加額の10%を、税額控除する制度が以前からありましたが、要件が難しかったので、なかなか適用する会社がありませんでした。今年の改正で、平成24年度を基準年度(24年4/1以後25年3/31までの間に開始する事業年度)として社員の給与を比較し増加した分、増加額の10%を、税額控除できるよう、条件が緩和されて、使いやすくなりました。

法人・個人の事業者に適用されます。

改正点

・適用年度を平成 30 年3月 31 日まで2年延長されました。

・給与等支給増加率 現行5%のところ、平成27年4月1日より前に開始する事業年度については2%

同日から平成28年3月31日までの間に開始する事業年度については3%、平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する事業年度については5%以上と段階的に変更になりました。

・平均給与等支給額の比較方法を変更して、現行制度では、日雇いのみを除いて計算していたところを、「継続雇用者に対する給与等の支給額」と、それに係る支給者数に限定して比較することに改正しました。(退職者・再雇用者・新卒採用者を除く)

【例】 4/1から3/31が事業年度の場合

平成25年3月31日決算  平成26年3月31日決算

基準社員の給与総額      社員の給与総額

95,000,000円         97,000,000円

基準平均給与等支給額     平均給与等支給額

3,8000,000円         3,860,000円

     95,000,000円<97,000,000円

  102.10% UP   2.10%>2%
    3,8000,000円<3,860,000円

97,000,000円-95,000,000円=2,000,000円

   2,000,000円×10%=200,000円

   ∴税額控除可能額 200,000円

ただし、中小企業の場合は、法人税額の20%までです。控除しきれない場合は、1年間の繰り越し控除はできます。



上記の例で、平成27年3月31日決算

社員の給与総額  97,500,000円

平均給与等支給額  3,900,000円 であれば

基準年度との比較 

   95,000,000円<97,500,000円

   102.63%UP  2.63%>2%

前年との比較 97,000,000円<97,500,000円

   3,860,000円< 3,900,000円

97,500,000円-95,000,000円=2,500,000円

   2,500,000円×10%=250,000円

 ∴税額控除可能額 250,000円

上記の例で、平成28年3月31日決算は、基準年度と比較して3%UP、平成29年3月31日決算及び平成30年3月31日決算の場合は、基準年度と比較して5%UPした場合に適用があります。




 

 


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2014年05月01日