第116号 消費税を見直そう!!

消費税を見直そう!!

 小規模事業者にかかる消費税について、この4月より大幅な改正が行われました。そのため今まで課税売上高が1,000万円超3,000万円未満であったために、免税業者となっていた事業者は、課税事業者になりました。法律の改正により初めて消費税の申告をする場合、原則課税を選択するか簡易課税を選択するかの届出は、平成16年4月1日から始まる事業年度終了の日までに届けることになります。3月決算の会社の場合は、平成17年3月31日までになり、個人事業主の場合は、平成17年12月31日までに届出ます。簡易課税を選択するのは、あくまで会社の判断ですので、税理士とよく相談して会社が決めなければなりません。

原則課税を選択した場合の手続き

 消費税の課税標準は、資産の譲渡等の対価の額であり、それに税率を乗じた金額から一定の仕入税額を控除したものが消費税の納付税額となります。この仕入税額にいろいろ規定があり、下記に掲げた要件をクリアしたものしか控除することができません。仕入税額控除の要件に合致しない場合は、仕入税額控除ができず、課税売上高の5%そのままを納税しなければなりません。(例えば課税売上高1,000万円の場合は、50万円、3,000万円の場合は150万円が納税額になります。) ですから仕入税額控除ができるか否かは納税額にかかる重要な問題です。(例えば課税売上高1,000万円の場合でも仕入税額控除が40万円あれば納税額は10万円になります。)

仕入税額控除の要件 

 仕入税額控除を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記録した帳簿及び課税仕入れ等の事実を証する請求書等を保存しなければなりません。(7年間)

 帳簿への記載事項

 ①課税仕入れの相手方の氏名または名称

 ②課税仕入れを行った年月日と記帳日

 ③課税仕入れにかかる資産または役務の内容

 ④課税仕入れにかかる支払対価の額(含む消費税

  及び地方消費税額に相当する額)

実務上の処理 

 とは言っても、課税仕入れのすべてについて仕入帳簿を作成するのは大変なので、課税仕入れにかかる請求書を仕入れの相手先ごとに、日付順に綴っておけば、仕入帳簿がなくても自ら記載して、編綴したものとみなして、消費税上の帳簿記載要件をクリアしたことにしてくれます。

 また請求書のない場合でも次に掲げるようなときは、金銭出納帳等に上記の4つの記載要件を記載すれば、請求書の保存は要しないとされています。

・課税仕入れの支払対価合計額が3万円未満

・自販機による課税仕入れ

・電車賃のように券が回収されてしまうもの

・課税仕入れの相手が、こちらが請求したにもかかわらず請求書を交付しない

 原則課税に比べ簡易課税は、課税売上高から税額を計算しますので、面倒な事務処理はいりません。しかし、売上内容が毎年著しく変わる場合、建物等金額の大きな資産を購入する場合、輸出が多い場合など、不利になることもあります。初めに書いたように、あくまで会社の判断ですので、税理士とよく相談して会社が決めなければなりません。法人税や所得税のようなわけにはいきません。将来を見据えた計画を、いち早く税理士に報告・相談しないと間に合わない場合が多々生じてしまいます。免税点が1,000万円になったことで、今まで以上に注意をしなければならなくなりました。綿密な打ち合わせが必要になります。どしどし永嶋事務所へご連絡ください。免税の個人事業者が事業用資産を1,000万円以上で譲渡した次々年、不動産所得のある者が賃貸物件を1,000万円以上で譲渡した次々年は、小さな金額の課税売上があっても課税が発生します。

 これらの判断の期限が事業年度終了の日であって、申告期限ではないことにご注意ください。

 



 

 


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2004年05月06日