第369号 最低賃金

従業員の給与、最低賃金以上ですか?

 10月3日から順次、最低賃金が引き上げられます。
「最低賃金法」という法律で決められ、全国のどこの事業所にも適用されます。
都道府県ごとに最低額が決められ、労働者に支払う賃金がそれを下回ることがあれば、使用者に50万円以下の罰金が科せられます。労働基準監督署からの是正勧告、企業名の公表、従業員とのトラブル、企業の信用失墜など、法的な罰則以外にも様々なリスクが生じます。
最低賃金がUPすると、弱小な事業所は、対応が難しくなります。そのため、従来は10月1日からUPしていましたが、今年から、都道府県ごとに開始日が異なります。
 東京都  1,226円(1163円) 令和7年10月 3日
 神奈川県 1,225円(1162円) 令和7年10月4日
 埼玉県  1,141円(1078円) 令和7年11月 1日
 千葉県  1,140円(1076円) 令和7年10月 3日
 愛知県  1,140円(1077円)  令和7年10月18日
 京都府  1,122円(1058円)  令和7年11月21日
 大阪府  1,177円(1114円) 令和7年10月16日
 兵庫県  1,116円(1052円) 令和7年10月 4日
   1,100円以上は、この8都府県のみです。
 従業員の給与が、最低賃金以上か否かの確認方法ですが、詳しくは厚労省のホームページにあります。
1例
 基本給   150,000円   労働時間/日 8時間
 職務手当  30,000円   年間労働日数 250日
 通勤手当   5,000円   〇〇県の最低賃金1000円
 時間外手当 35,000円
  合計   220,000円
 ○○県で働く労働者Aさんは、月給で、基本給が月150,000円、職務手当が月30,000円、通勤手当が月5,000円支給されています。また、この他残業や休日出勤があれば時間外手当、休日手当が支給されます。M月は、時間外手当が35,000円支給され、

    合計が220,000円となりました。
 なお、Aさんの会社は、年間所定労働日数は250日、1日の所定労働時間は8時間で、○○県の最低賃金は時間額1,000円です。
 Aさんの賃金が最低賃金額以上となっているかどうかは次のように調べます。
(1)Aさんに支給された賃金から、最低賃金の対象とならない賃金を除きます。除外される賃金は通勤手当、時間外手当であり、職務手当は除外されませんので、
    220,000円-(5,000円+35,000円)=180,000円
(2)この金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較すると、
   (180,000円×12か月)÷(250日×8時間)=1,080円>1,000円
    となり、最低賃金額以上となっています。

 

 

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2025年10月01日