第143号  相続と物納と測量、特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入

相続と物納と測量

従来不動産を物納申請する場合は、申告時点の段階で物納申請地のみを決めて申請し、後日測量したりすればよかったのですが、改正後では、原則申請時に、登記事項証明書(謄本)、測量図、境界確認書等を添付しなければなりません。

 提出された書類に不備があった場合は、書類の補正や提出が求めら
れ20日以内にできなかった場合は物納申請を取り下げたものとみなされます。ただし、20日以内に提出できない場合は、1年間に限って、3ヶ月ごとに延長の届出を行うことができます。

 測量は隣地との地境の争いなどでなかなかできず1年を超えることもありますので、不動産を物納する可能性のある場合は、ご自分の不動産について、平素から測量などしてきちんとしたものにしておいたほうがよいと思います。

今回の改正で、物納申請の許可または却下は、物納申請期限から
原則3ヶ月以内に行われることになりました。3ヶ月以内に許可または却下をしない場合は、許可をしたとみなされます。ですから税務署も大急ぎで審査すると思われます。物納申請件数が多いときは6ヶ月、特別の場合は9ヶ月になります。

また従来は、物納財産の収納までにたとえ時間がかかったとしても、利息は無税でしたが、今回の改正では、申請者が延長届出書の提出をした場合は、物納の利子税が発生します。多数の不動産の物納申請の場合は大変な負担ですので、申告期限に完備した書類が提出できるようにしておきたいですね。

また今回の改正で、相続税を延納中の者が、資力の状況の変化等により延納による納付が困難となったときは、申告期限から10年以内に限り、延納税額からその納期限の到来した分納税額を控除した残額を限度として、物納を選択することができるようになりました。



中小・零細企業に対するイジメ?特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入

どういうことかと簡単に述べますと、社長とその親族が90%以上の株式を保有している会社で、社長の親族が役員の過半数を占め、社長の年収と会社の所得を合算して800万円超、(年800万円超3,000万円以下であり、かつ、その平均額のうち社長の役員報酬の割合が50%以下を除く)になったら、社長の給与所得控除額は、損金になりませんということです。

中小・零細企業は、これに該当するところが多いと思います。

損金不算入額の例示です。

  役員報酬額 600万円の場合損金不算入額 174万円

  役員報酬額 1000万円の場合損金不算入額 220万円

  役員報酬額 2000万円の場合損金不算入額 270万円

平成18年4月1日以後開始する事業年度の会社、つまり現在、既に3月、4月、5月、6月、7月決算法人は対象になっています。

早速に対策を考える必要があります

  ① 社長一族の保有している株式の割合を90%未満にする

  ②役員の半分を社長一族以外の者にする

  ③社長の報酬と会社の所得の合計額を3000万円以下にし社長の 報酬をその半分以下にする。

  ④ 社長の報酬と会社の所得の合計額を800万円以下に保つ。

それぞれの会社によってどの方法が良いか、あと半年で最初の決算がきてしまいます。充分検討の上対策をお願いします。 一般的には①或いは②の方法を選択する会社が多いようです。

 

お詫び 毎回のことですが、文章を読みやすくするため税法用語を一部カットしているため、税法としては正確でない場合もありますが、大体の内容を把握していただければと思います。詳しくは永嶋税理士事務所まで。

 

 

 

 


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2006年08月01日