第187号  相続税の計算 障害者の税額控除の改正

相続税の計算

相続税の一般的な計算は、相続人ごとに、取得財産から債務等を控除した課税価格を計算してそれを合計します。次にその合計額から基礎控除額(5000万円+法定相続人の数×1000万円)を差し引いて課税遺産総額を算出します。

課税遺産総額を、各相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各相続人の取得金額を計算します。

各法定相続人の取得金額に税率を乗じて税額を算出します。

各法定相続人ごとの算出税額を合計して相続税の総額を計算します。

相続税の総額を、財産をもらった相続人の課税価格に応じた割合で、相続人ごとの税額を計算します。

各相続人の納付税額の計算

各相続人の税額から、相続人ごとに適用のある各種の税額控除額を差し引いた残りの額が各相続人の納付税額になります。 ただし、財産をもらった相続人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、税額控除を差し引く前の相続税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。

なお、被相続人の子供が被相続人より先に死亡している場合は、孫について相続税額に加算する必要はありませんが、子供が被相続人より先に死亡していない場合で被相続人の養子である孫については、相続税額に加算する必要があります。

 各種の税額控除等は次の順序で計算します。

各相続人の税額+相続税額2割加算-配偶者の税額軽減-未成年者控除-障害者控除-相次相続控除=各相続人の納付税額

この計算式は、相続税の一般的な計算であって、相続開始前三年以内の贈与、相続時精算課税や外国税額控除については省いてあります。


障害者の税額控除の改正 85歳 

相続人が70歳未満で障害者のときは、障害者控除が受けられ、相続税の額から一定の金額を差し引くことができます。障害者控除が受けられるのは、相続や遺贈で財産をもらったときに日本国内に住所がある人で、障害者であり、法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)であることが要件です。

 障害者控除の額は、その障害者が満70歳になるまでの年数1年(年数の計算に当たり、1年未満の期間があるときは切り上げて1年として計算します。)につき6万円で計算した額です。この場合特別障害者については1年につき12万円となります。

 なお、障害者控除額が、その障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引ききれない場合は、その引ききれない部分の金額をその障害者の扶養義務者の相続税額から差し引きます。また、その障害者が今回の相続以前にも障害者控除を受けているときは、控除額が制限されることがあります

平成22年の税制改正で、相続税の障害者控除について、控除額の算出に用いる年数を、相続人が85歳(現行70歳)に達するまでの年数となりました。

これは今日から相続があった場合に適用されます。

 

 

 

 


永嶋税理士事務所通信の内容についてご質問ご意見のある方はご連絡下さい。
過去の永嶋税理士事務所通信をご覧になる場合は、こちらをクリックして下さい。


2010年04月01日