28年度税制改正
28年度の税制改正関連法案は、3月29日午後の参議院本会議で賛成多数で可決され成立しました。先月書きました通り、昨年に比べ大きな改正はありませんが、経済の好循環を確実なものとする観点から「法人税の実効税率」について、4月から始まる事業年度から、引き下げられます。法人税率としては、23.4%になります。中小法人の軽減税率の特例(年800万円以下)については15%のままです。また消費税については、「軽減税率」を導入し、対象品目を、飲食料品(酒類と外食を除く)のほか、一定の新聞としました。
空き家の発生を抑制するための措置
空き家が放置され、周辺の生活環境への悪影響を未然に防ぐ観点から、空き家の最大の要因である「相続」に由来する古い空き家(除却後の敷地を含む。)の有効活用を促進することにより、空き家の発生を抑制するための新たな制度ができました。
相続人が、相続により生じた被相続人の古い居住用家屋の空き家またはその空き家の除却後の敷地を平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合、居住用財産を譲渡したものとみなして、3,000
万円控除の規定を適用することができます。
◎被相続人居住用家屋の要件
①相続開始直前において被相続人の居住用に供されていたこと。
②昭和56 年5月 31 日以前に建築されたこと。
③区分所有建築物ではないこと。
④相続開始直前において被相続人以外に居住していた者がいなかったこと。
⑤相続時から譲渡時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
⑥その譲渡時において、地震に対する安全性に係る規定またはこれに準ずる基準に適合するもの。
⑦敷地のみの場合は、相続時から除却または譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと。
○譲渡の要件
①その相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の 12 月 31 日までの間の譲渡
②譲渡所得の計算時、取得費加算の規定(措置法39条)の適用を受けるものを除く
③譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除く
『注意事項』
この特例は、確定申告書に、地方公共団体の長等の被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等が上記の要件を満たすことの確認をした旨を証する書類その他の書類の添付がある場合に適用できます。
もともと、建築基準法で耐震の規定がない昭和56 年5月 31 日以前に建築された建物が対象ですから、上記の証明書を取得するには、費用を掛け、耐震のリフォームをしてから証明書を申請するか、或いは建物を取り壊してから譲渡するか判断してください。
譲渡所得の計算時、取得費加算の規定(措置法39条)の適用を受けるものを除くとありますが、居住用財産の買換え等の特例(措置法36条の2)、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41条の5)、特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(措置法41条の5の2)との重複適用はできます。
特に注意していただきたいのは、相続のとき、共有で相続してから譲渡する場合です。
例えば1億5,000万円の居住用財産を2人で1/2ずつ相続してから譲渡しました。1人は、7,500万円で、1億円未満です。しかし、この規定の適用はありません。譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除くというのは、全体で判断します。
平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に譲渡した場合とありますが、相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の 12 月
31 日までの間の譲渡に限られますから、実務上としては、平成25年1月2日以後相続した場合です。今年の12月31日までに譲渡すれば適用があります。
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