第182号 使用人に社宅や寮などを貸したとき、役員に社宅などを貸したとき

使用人に社宅や寮などを貸したとき

事業者が使用人に対して社宅や寮などを貸与する場合には、使用人から1か月当たり、賃貸料相当額以上を受け取っていれば給与として課税されません。

賃貸料相当額とは次の(1)~(3)の合計額をいいます。

  (1) その年度の建物固定資産税の課税標準額×0.2%
  (2) 12円×(その建物の総床面積㎡/3.3㎡)
  (3) その年度の敷地固定資産税の課税標準額×0.22%


 使用人に無償や著しく低額で貸与する場合には、この賃貸料相当額が給与として課税されます。

 しかし、使用人から受け取っている家賃が賃貸料相当額の50%以上であれば、受け取っている家賃と賃貸料相当額との差額は、給与として課税されません。



【例】賃貸料相当額が1万円の社宅を使用人に貸与した場合

  (1) 使用人に無償で貸与する場合には、1万円が給与として課税されます。
  (2) 使用人から3千円の家賃を受け取る場合には、賃貸料相当額である1万円と3千円との差額の7千円が給与として課税されます。
  (3) 使用人から6千円の家賃を受け取る場合には、6千円は賃貸料相当額である1万円の50%以上ですので、賃貸料相当額である1万円と6千円との差額の4千円は給与として課税されません。

 また、会社などが所有している社宅や寮などを貸与する場合に限らず、他から借りて貸与する場合でも、前に説明した三つを合計した金額が賃貸料相当額となります。
したがって、他から借り受けた社宅や寮などを貸す場合にも、貸主等から固定資産税の課税標準額などを確認することが必要です。

現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、給与として課税されます。


役員に社宅などを貸したとき

 法人の役員に対して貸す場合は、貸す社宅の床面積により小規模な住宅とそれ以外の住宅とに分け、次のように計算します。

ただし、この社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない、いわゆる豪華社宅である場合は、次の算式の適用はなく、時価が賃貸料相当額になります。

注1、小規模な住宅とは、建物の耐用年数が30年以下の場合には床面積が132㎡以下である住宅、建物の耐用年数が30年を超える場合には床面積が99㎡以下である住宅をいいます。
(区分所有の建物は共有部分の床面積をあん分し、加えて判定します。)

注2、いわゆる豪華社宅であるかどうかは、床面積が240㎡を超えるもののうち、内外装の状況等各種の要素を総合勘案して判定します。
なお、床面積が240㎡以下のものについては、原則として、プール等や役員個人の嗜好を著しく反映した設備を有するものを除き、次の算式によることとなります。

1 役員に貸与する社宅が小規模な住宅である場合

  使用人の場合と同じ計算になります。

2 役員に貸与する社宅が小規模な住宅でない場合

(1) 社宅が自社所有の場合の賃貸料相当額

  次のイとロの合計額の12分の1

イ、 その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%

    ただし、建物の耐用年数が30年を超える場合は10%

ロ、 その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

(2) 他から借り受けた住宅等を貸与する場合

 会社が家主に支払う家賃の50%の金額と、上記(1)で算出した賃貸料相当額とのいずれか多い金額

3 給与として課税される範囲

(1) 役員に無償で貸与する場合には、賃貸料相当額が、給与として課税されます。

(2) 役員から賃貸料相当額より低い家賃を受け取っている場合には、賃貸料相当額と受け取っている家賃との差額が給与として課税されます。

(3) 現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、社宅の貸与とは認められないので、給与として課税されます。


 

 


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2009年11月01日