狭いバケットに体を沈め、キーをひねる。
背後でエンジンが心地よい咆吼をあげて目覚める。Midshipに乗っていることを実感する瞬間だ。

オイルが温まるまでは無理なシフト・チェンジは禁物だ。
一速一速、感触を確かめるようにギアを変える。車との対話を楽しむかのように。

水温系が中央を指した頃、冬だというのに体が熱くなるのを感じ、驚く。
まだ過激な走りをしているわけでもない。精神(こころ)はむしろ冷ややかなくらいであるのに。

想像するに、何千年も昔、狩りに行く男とはこういうものだったのではないだろうか。
命をかけた戦いが待っている。
冷静でなくてはならない。
それとは裏腹にたかぶる気持ちが脈を速め、体温を上げていく。

ビートのコックピットは現代人に、本能という名の忘れかけた“何か”を思い出させるのかもしれない…

 

 

 

 

 

 

あ、ヒーター全開だったよ!

 

1.ホンダ・ビートとは?

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