第162号 資本的支出と建物の増築

資本的支出と建物の増築

減価償却制度が改正され、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産から適用されていますので、今年の確定申告では注意が必要です。先月号で大修繕した賃貸建物について書きましたが、資本的支出になる場合と建物の増築のように新たなる資産の取得の場合を混同したような表現でしたので、今月もう一度書きます。

減価償却資産について、平成19年4月1日以後に資本的支出をした場合には、原則として、その資本的支出した金額は、別個の減価償却資産を取得したとします。本体の減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする資産を新たに取得したものとして、新たな定額法又は新たな定率法により償却費の額を計算します。

ただし、その資本的支出を行った減価償却資産本体が、平成19年3月31日以前に取得したものである場合には、その資本的支出を行った減価償却資産本体の取得価額にその資本的支出の金額を加算することができます。なお、この加算を行った場合は、減価償却資産本体の種類及び耐用年数及び償却方法に基づいて、加算を行った資本的支出部分も含めた減価償却資産全体の償却を、旧定額法又は旧定率法等により行うこととなります。

原則法である新たな定額法又は新たな定率法で計算する場合は、残存価額がありませんが、特例である旧定額法又は旧定率法で計算する場合は、残存価額が5%になった翌年から、5年間で償却することになります。どちらが良いか判断して選択適用しますが、途中からの変更はできません。

資本的支出とは、業務の用に供されている固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなると認められる部分に対応する金額をいい、例えば、次に掲げるような金額は、原則として資本的支出に該当します。(所得税法基本通達37-10)

(1) 建物の避難階段の取付け等物理的に付加した部分に係る金額

(2) 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した金額

(3) 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合の
その取替えに要した金額のうち通常の取替えの場合にその取替えに
要すると認められる金額を超える部分の金額

ここで注意を要するのは、建物の増築、構築物の拡張、延長等は
建物等の取得に当たり、資本的支出にはなりません。

建物の増築の場合は、新たなる資産の取得があったとして、新たな定額法又は新たな定率法により償却費の額を計算します。

なおその他改正の大まかな点は、永嶋税理士事務所通信第152号
2007年5月1日に掲載してあります。

 

 

 


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2008年03月01日