役員給与の税務上の取扱い
役員に対する給与には、役員報酬、役員賞与、役員退職金があります。今月は報酬と賞与について、取り上げたいと思います。
法人が、その役員に対して支給する賞与は、原則として、損金になりませんが、報酬は損金とされます。ただし、そのうち、過大報酬(不正等に高額の部分)は、損金になりません。過大報酬かどうかは、次によります。
過大報酬か否かの判定?
①実質基準
その役員に対して支給された報酬の額が、その職員の職務内容、その法人の収益、その使用人に対する給与の支給状況、その法人と同業種・同規模法人の役員報酬などに照らして、その役員の職務の対価として、相当であるか否かによって判定します。
②形式基準
その役員に対して支給された報酬の額が、その法人の定款の規定、株主総会・社員総会等で定められた、役員報酬限度額を超えているか否かによって判断します。
①、②いずれにも該当する場合は、多いほうの金額とされます。
☆役員報酬を変更する場合は、必ず株主総会等で役員報酬限度額の変更を決議しましょう。
使用兼務役員に対する取扱い
☆使用人兼務役員とは、使用人として仕事をしている取締役等のことです。
使用人兼務役員とはいえども、身分は役員ですから、その賞与は原則として損金になりません。しかし、使用人として職務に従事しているわけですから、次の条件を満たしている場合は、損金とされます。
①他の使用人の賞与の時期に同時に支給していること
②使用人としての職務に対する賞与の額として相当な額で、かつ損金経理して いること
☆損金経理とは、法人がその確定した次第において、費用又は損失として経理することを、いいます。
使用人兼務役員になれない人
では、使用人としての仕事をしている役員はすべて使用人兼務役員になれるかというと、次の人はなれません。
Ⅰ 社長、副社長、代表取締役、専務取締役、監査役など
Ⅱ オーナー、相談役等、使用人以外で、法人の経理に従事している者
Ⅲ Ⅰ、Ⅱ以外の平取締役でも同族会社の役員のうち、次の①②③の要件をす べて満たしている者
①50%基準
次の株主グループのいずれかに属している者
イ.第1位の株主グループの持株割合が、50%以上の場合の、第1位グループ
ロ.イ,以外で、第1位と第2位の株主グループの持株割合の合計が、50%以上 の場合の、第1位と第2位グループ
ハ.イ.ロ.以外で、第1位と第2位と第3位の株主グループの持株割合の合計 が50%以上の場合の第1位と第2位と第3位グループ
②10%基準
所属株主グループの持株割合が10%超
③5%基準
その役員(配偶者分等加算)の持株割合が、5%超
☆株主グループとは、その株主と親族、内縁関係者、特殊関係者等の株主グループをいいます。又その株主グループが所有する他の会社の株式等の合計額が、その他の会社の発行済株式等の50%以上になる場合の会社を含みます。
年末調整の準備
11月も半ばになりますと、年末調整の準備が始まります。各保険会社等から保険料控除証明書等が送付されてきますので、保管しておいてください。
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