第42号 固定資産一括損金限度額、少額固定資産簡便償却創設

速報!!

 政府・大蔵省は、課税緩和を骨子とした平成10年度国税関係改正法案を、今通常国会に提出しました。特に法人税では、しばらくぶりの大改正で、税率3%減をはじめ土地・住宅税制の大幅緩和がある反面、課税強化された部分もあります。今月は、この中から減価償却と交際費について取り上げたいと思います。

固定資産一括損金限度額

 固定資産を取得した場合、従来は取得価額が20万円未満であれば一括損金に算入することができましたが、次の事業年度からは、20万円未満が10万円未満に引き下げられることになります。20万円未満というと、かなり結構なものが損金になりましたが、10万円未満というと、固定資産に計上しなければならないものが相当多く出てくると思われます。10万円以上20万円未満の資産を購入する予定がある場合は、この進行年度に取得したほうがよろしいかと思います。特にパソコンは、そこそこのランクのものが17万円前後で買うことができますので、この際パソコンで会計業務・販売管理業務・給与計算・ワープロ・表計算をやりたい、又は、インターネットに接続したいと思われる場合は、この進行年度によく考慮して対応してください。

小額固定資産簡便償却創設

 上記の法律改正にともない、10万円以上20万円未満の固定資産を取得した場合は、通常の減価償却計算を行なうことの他に簡便法による方法も創設されました。事業年度ごとに、一括して3年間で償却するというものです。すなわち、1年目は「1年目取得価額×1/3」、2年目は「1年目取得価額×1/3+2年目取得価額×1/3」、3年目は「1年目取得価額×1/3+2年目取得価額×1/3+3年目取得価額×1/3」が、減価償却額となります。結果、10万円以上20万円未満の固定資産税は、3年間で償却して、未償却残額は残らないことになります。この場合、A資産は原則方法、B資産は簡便償却という選択はできません。

交際費課税の強化

 会社が交際費を支出した場合は、原則としてその各年度の所得の金額の計算する上で損金の額に算入できません。(交際費は、1円も経費にはなりませんということです。)ただし、資本金が、1,000万円以下の会社の場合は、その支払った交際費の額のうち年400万円以下の90%に相当する金額を、資本金が1,000万円超5,000万円以下の会社の場合は、念300万円以下の90%に相当する金額を損金として算入することができました。つまり、300万円以下・400万円以下の10%について、課税されたということですが、今回の改正案では資本金が1,000万円以下の会社・1,000万円超5,000万円以下の会社の支出交際費のうち、それぞれ300万円以下・400万円以下の20%相当額について損金に算入できないこととされました。

損金不算入額の計算
<具体例1>資本金1,000万円以下の会社
   支出交際費の額380万円(年)
  改正前 380万円×10%=38万円
  改正後 380万円×20%=76万円
  課税強化 76万円-38万円=38万円
<具体例2>資本金1,000万円以下の会社
   支出交際費の額500万円(年)
  改正前 500万円-400万円=100万円
       400万円×10%=40万円
       100万円+40万円=140万円
  改正後 500万円-400万円=100万円
       400万円×20%=80万円
       100万円+80万円=180万円
  課税強化 180万円-140万円=40万円
★これからの改正案は、平成10年4月1日以後に開始する事業年度の法人税について適用される予定です。


 


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1998年03月03日