第79号 公定歩合と利子税・延滞税・還付加算金、給与の未払

平成13年度税制改正案が、3月28日参議院を通過しました。
従って、前々月に掲載しました与党案は可決成立しました。

公定歩合と利子税・延滞税・還付加算金

公定歩合は、平成6年に0.5%、今年の2月13日に0.35%、3月1日に0.25%になりました。
各金融機関の貸出金利は、だんだん低くなってきました。
これに対して、所得税、相続税、贈与税を延納する(分割して納付すること)場合の利子税の割合は、年7.3%でした。
ですから一般的に、借金しても税金を納付した方が有利でした。
平成12年1月から所得税の利子税の割合は

   公定歩合+4% <特例基準割合>

となりました。
相続税、贈与税の利子税の割合は

   現行の利子税の割合×<公定歩合+4%>÷7.3%

となりました。
ただし、この特例基準割合が7.3%以上になる時は、7.3%になります。
公定歩合は、所得税の場合、前年の11月末日相続税、贈与税の場合、各分納期間の開始月の2ヶ月前の月末の割合を採用します。今年の所得税の延納の利子税は昨年11月30日の公定歩合 0.5%+4%=4.5%

で計算されます。

延滞税のうち、年7.3%の割合も特例基準割合が年7.3%に満たない場合は

公定歩合+4%となります。
ただし、14.6%の割合は罰金的な要素も含まれているからでしょうか今回は据え置かれています。


還付加算金の割合も、特例基準割合が年7.3%に満たない場合は、

公定歩合+4%となります。

給与の未払

25日が給料日の会社は、一般的に15日〆25日支払の場合が多いと思います。
3月25日支給の給与は、2月16日から3月15日までに働いた分が支払われます。
3月16日から31日までの分は、4月に支払われるので3月決算法人の場合は、この半月分を未払給与として計上できます。
一般に使用人の給与は、労働基準法で定められており労働の対価として、たとえ1日でも働けば1日分の給与を支払わなければなりません。
つまり使用人の給与は、働いた日数とともに日々債務が確定していくことになるので日割り計算で未払を計上することができます。
これに対し、役員の報酬は株主からの包括的な委任の対価であり労働の対価ではありませんので、日々債務が確定するという概念にあたりません。
従って、日割り計算で未払を計上することができません。
では、使用人兼務役員の場合は、どうでしょうか。
使用人兼務役員は、税法上の概念であって、商法上は役員です。
ですから、使用人兼務役員の場合も日割り計算で未払を計上することができません。

パートタイマーも雇用保険

平成13年4月1日から雇用保険の適用基準が緩和され
年収要件(90万円以上)が撤廃されました。

新適用基準 1.1年以上引き続き雇用されることが見込まれる者
2.1週間の所定労働時間数が、20時間以上30時間未満であること
これは、1週間単位で判断するのではなく
年間1,040時間以上1,560時間未満働く者ということです。
雇用保険に加入できるのは、雇用主とパートタイマーの間で
上記1、2の要件をクリアした雇用契約書をとりかわす必要があります。

★雇用保険料率が4月から変わります。

  改正後 改正前
一般 15.5/1,000 11.5/1,000
  事業主 9.5/1,000 7.5/1,000
  被保険者 6.0/1,000 4.0/1,000
建設業 18.5/1,000 14.5/1,000
  事業主 11.5/1,000 9.5/1,000
  被保険者 7.0/1,000 5.0/1,000



                        

 


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2001年04月01日