相続税の申告
平成22年中(平成22年1月1日~12月31日)に亡くなった人から、相続や遺贈などにより財産を取得した人の申告概要は次のとおりです。
1 被相続人の数(亡くなった人数)
被相続人は約120万人(前年約114万人)、このうち相続税の課税対象となった被相続人は約5万人(前年約4万6千人)で、課税割合は4.2%(前年4.1%)となって、前年より増加しました。
2 課税価格
課税価格は10兆4,470億円(前年10兆1,072億円)で、被相続人1人当たりでは2億1,006万円(前年2億1,765万円)です。
3 相続税額
税額は1兆1,754億円(前年1兆1,618億円)で、被相続人1人当たりでは2,363万円(前年2,502万円)で、前年より全体では増加し、1人当たりでは139万円少なくなっています。
4 相続財産の構成比
相続財産の金額の構成比は、土地48.4%(前年49.7%)、現金・預貯金等23.2%(前年22.3%)、有価証券12.1%(前年12.0%)の順となっています。
相続税の調査
相続税について、平成22事務年度(平成22年7月から平成23年6月までの間)に実施した実地調査の状況は、下記のとおりです。
1 実地調査件数及び申告漏れ等の件数
この調査は、平成20年中及び平成21年中に発生した相続を中心に、国税局及び税務署で収集した資料情報を基に、申告額が過少であると想定されるものや、申告義務があるにもかかわらず無申告となっていることが想定されるものなどに対して実施されたものです。実地調査の件数は13,668件(前事務年度13,863件)ですが、申告件数の1/3弱に当たります。このうち申告漏れ等があった件数は11,276件(前事務年度11,748件)で、その割合は82.5%(前事務年度84.7%)となっています。つまり、13,668件について調査をしたら、11,200件以上の人が申告漏れ等をしていたということです。残りの2/3の人も調査をしたら、もっと増えるのです。
2 申告漏れ課税価格
申告漏れ課税価格は3,994億円(前事務年度3,995億円)で、実地調査1件当たりでは2,922万円(前事務年度2,882万円)となっています。
3 申告漏れ相続財産の金額の内訳
申告漏れ相続財産の金額の内訳は、現金・預貯金等1,332億円(前事務年度1,319億円)が最も多く、続いて土地719億円(前事務年度631億円)、有価証券631億円(前事務年度809億円)の順となっています。
これで分かりますが、土地は、相続財産の半分を占めているのに、調査で否認されるのは、18%です。それに比べて、現金・預貯金・有価証券等の金融資産の申告漏れが、全体の半数を占めています。配偶者、子ども、孫の名義の預金等を否認されることが多いようです。
4 追徴税額
追徴税額(加算税を含む。)は797億円(前事務年度856億円)で、実地調査1件当たりでは583万円(前事務年度618万円)となっています。
隠蔽や仮装があると判断されると、増加の本税に対し35%の税率で重加算税を加算され、無申告の場合は、増加の本税に対し40%の税率で加算されます。
収入のない配偶者、子ども、孫たちの名義の預金をするときは、その根拠を明らかにしてメモを残しましょう。証拠書類がないと、相続のときに嫌な思いをすることになりかねません。気をつけまし
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