25年度所得税法等改正法案成立
25年度所得税法等改正法案が、
3月29日の参議院本会議において可決成立しました。
現下の経済情勢等を踏まえ、成長と富の創出の好循環を実現するとともに、社会保障・税一体改革を着実に実施するなどの観点から、国税に関し、個人所得課税、法人課税、資産課税、納税環境整備等について所要の措置を講ずると改正されました。
そのうち所得税と資産税は次のとおりです。
一、個人所得課税
1 所得税の最高税率( 現行40% ) を引き上げる( 現行の税率構造に加えて、課税所得4,000万円超について45% の税率を創設。)
2 金融所得課税の一体化を進める観点から、公社債等に対する課税方式の変更及び損益通算の範囲の拡大等を行う。
3 住宅ローン減税の適用期限(平成25年末) を4年間延長し、認定住宅( 長期優良住宅・低炭素住宅) を取得した場合の最大控除額を500万円
(それ以外の住宅は400万円) に引き上げる。
二、資産課税
1 相続税の基礎控除を引き下げるとともに、最高税率を55%(現行50%)に引き上げる等の税率構造の見直しを行う。
2 贈与税の税率構造について、最高税率を相続税の最高税率に合わせる一方で、子・孫等が受贈者となる場合の税率構造を緩和する。
3 相続時精算課税制度について、贈与者の年齢要件を65歳以上から60歳以上に引き下げるとともに、受贈者に孫を加える。
4 非上場株式等に係る相続税及び贈与税の納税猶予制度事業承継税制について適用要件の緩和等、負担の軽減(利子税の引下げ等、手続の簡素化等)
5 子や孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子や孫ごとに1,500万円までを非課税とする措置を創設する。
教育資金の一括贈与に係る贈与税
子や孫に対する教育資金の一括贈与に係る贈与税について、子や孫ごとに1,500万円までを非課税とする法律が創設されました。
この規定は、祖父母に相続が開始した場合、既に教育資金として贈与した金額は、相続財産には含まれません。下記条件をクリアした場合は、無税で子や孫に1,500万円まで贈与できます。
○ 祖父母(贈与者)が、金融機関に子や孫(受贈者)名義の口座等を開設し、教育資金を一括して拠出した場合、この資金について、子や孫ごとに、1,500万円までが非課税となります。
○ 教育費の具体的な範囲は、学校などへの入学金や授業料、学校以外の塾や習い事の月謝等とし、学校以外の者に支払われるものについては500万円が限度です。詳細は、今後、文部科学大臣が決定します。
○ 教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。
○ 子や孫が30歳に達する日に口座等は終了します。その時点の預金残高には、贈与税がかかります。
○ 教育資金の一括贈与に係る規定は、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの3年間のだけの時限措置です。
現在子や孫に教育資金がかかる場合で、実際に祖父母がその学費を納付している場合には、生活に通常必要な費用として、贈与税の対象外になります。ですからこの新しい規定は、お子さんやお孫さんが小さい方に効果があると思います。
これに伴って、各金融機関は、祖父母が孫に贈る教育資金を預かる新サービスを4月1日に始めますと、税制改正法案が成立する見通しとなった時点で発表しています。それによると、契約時点の手数料を無料にするとか、この契約をした者の家族には定期預金金利や住宅ローン金利を優遇するとか、少額の金額から始められるとか、金融機関によって扱いが異なるので、この規定を使って贈与しようと思われる方は、よくよく比較検討してください。
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