第129号 夜逃げされた未収家賃 中古住宅の購入 耐震基準の導入

夜逃げされた未収家賃

  ある日突然、たな子が夜逃げしたら、税務上どうなるでしょうか。家賃の未収分は収益に計上しなければなりません。

所得税基本通達51-13に、次のような貸倒れの場合の記載があります。

 債務者との取引停止をした時以後1年以上を経過したときは、売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金そのほかこれに準ずる債権を含まない。)の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れになったものとして、所得金額の計算上必要経費に算入することができる。
(注) 取引停止は、継続的な取引を行っていた債権者につきその資産状況、支払能力等が悪化したため、その後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば、不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、その取扱いの適用はない。

上記の基本通達でいう、たまたまの不動産取引とは、不動産の売買を想定していると思います。したがって賃貸借契約を継続している借家人の家賃の未収入金は、売掛金に準ずる債権と思います。ですからたな子に夜逃げをされた場合は、夜逃げをされた日以後1年以上経過した時点で経費になります。

家賃の未収は、その場で収益として計上し、貸倒れ損失は、1年以上経過しなければ経費にならないのは、貸主としては、悔しいと思います。

借家人が生活苦で支払い困難な場合、これ以上請求しても家賃を支払うことができないと思われる借家人に対しては、あらかじめ話し合いをして、未収入分を立ち退き料として契約解除するので、出てくださいとした方がよいのかもしれません。しかし、その判断は難しいですよね。契約の解除後に居座って出て行かない未収入金は計上しないで、入金した時点で収益計上になります。

所得税基本通達36-5

中古住宅の購入  耐震基準の導入

中古住宅を買った場合、マンションなどの耐火建築物 は築後25年以内、木造1戸建などの非耐火建築物は築後20年以内でなければ、住宅ローン控除をはじめとする各種住宅特例制度の適用を受けることができませんでした。 (永嶋税理士事務所通信第20号参照)

○新耐震基準証明書の添付で特例が適用される制度

住宅ローン特別控除 (所得税)

②居住用財産の買換え特例 (所得税、個人住民税)

③住宅取得資金等の贈与に係る相続時精算課税制度の特例 (贈与税)

④住宅用家屋に係る登録免許税の税率軽減 (国税)

⑤住宅用家屋に係る不動産取得税の特例 (地方税)

これらの規定について今年の4月1日から、築後20年・25年以上であっても、 耐震性のある中古住宅 (地震に対する安全性に係る規定またはこれに準ずる基準に適合する一定の既存住宅) については、それぞれ適用を受ける申告書に、「新耐震基準を満たすことの証明書」を添付することで、築後の経過年数に関する要件を撤廃することになりました。

「新耐震基準を満たすことの証明書」 は、 原則として売主が建築士、指定確認検査機関、または指定住宅性能評価機関に依頼し、建物を譲渡する前2年以内に耐震診断を受けたうえで、証明されたものになります。「新耐震基準を満たすことの証明書」を住宅の引渡しを受けた後 (所有権が移転した後) に取得した場合には、これらの特例措置の適用はされないことになっています。

この規定の適用を受けたい場合は、あらかじめ建築士に相談することをお勧めします。

⑤の不動産取得税の場合は、登記簿上の新築日付が昭和57年1月1日以降の住宅 は新耐震基準に適合しているものとみなされるため証明書は不要となります。

これは不動産取得税にのみ適用されるみなし規定であり、昭和56年12月31日以前の建物では、他の特例の場合と同様に「新耐震基準を満たすことの証明書」 が必要となります。


 

 

 

 


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2005年06月01日