第23号 開業5周年を迎えて、創立○○周年記念行事

開業5周年を迎えて

平成3年7月26日に根が島税理士事務所を開業して早5年が過ぎました。この日を迎えることができましたのも、皆々様のご支援、ご指導の賜物と深く感謝して居ります。と同時に、これを機に職員一同とともに、税理士業務に尚一層精励いたす所存でございますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。


創立○○周年記念行事

●交際費?福利厚生費?
会社が創立記念として行う記念パーティなどの費用については、従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用の額は、交際費ではなく、福利厚生費として扱われることとされています。しかし、この通常の飲食というのが大変むずかしく、会社創立30周年記念祝賀会費用が、福利厚生費ではなく交際費とされた東京地方裁判所の昭和57年の判決があります。交際費とされる場合はたとえ従業員の慰安のための行事であっても、通常一般的に行われる程度を超える場合です。では、祝賀費用が通常の範囲を超えるかどうかは、その祝賀会の規模、開催の場所、参加者の構成飲食の内容等を総合勘案して判断します。この判決の場合、参加者672名のうち従業員407名その家族160名、下請業者60名で、一流の宴会場において、プロの楽団や芸能人を招いて行われたもので、その費用は590万円、一人平均、12,642円でした。その祝賀費用には、アトラクション等の費用が含まれていたことが、裁判官の心証に大きく影響したものとみられ、通常要する費用を超えているという判決により、従業員の分も含め、その金額が交際費とされました。
現在、大企業では、交際費を支出した場合、金額損金負算入になってしまいます。これは、企業会計上費用である筈の交際費が、経費にならないということなのです。資本金1,000万円以下の中小企業でも、400万円以下の交際費を支出した場合は、その10%、400万円超の交際費を支出した場合は、400万円超の部分については全額経費になりません。ですから、交際費か、福利厚生費かは大変な問題なのです。

●ご祝儀
創立○○周年祝賀記念パーティを、ホテルで行った会社が、得意先や仕入先などの接待客からご祝儀を受け取りました。経理担当者は、支出した費用から収受したご祝儀の額を控除して、交際費としました。しかし、これに関する東京地方裁判所の平成元年12月の判決によるとパーティのために支出した費用金額を交際費に収受したご祝儀は雑収入にすべきだとのことです。限度額を超えた交際費は、経費にならないのに、ご祝儀は雑収入になるというのは、何か納得いかないような気がしますが、交際費の損金負算入制度は、交際費に対する強い社会的批判を踏まえ、無駄遣いをなくして、もうkを会社に留保し、会社の財産の蓄積を図る為に、政策的に設けられたものですので、交際費からご祝儀を控除する法律の規定がないのです。

●会費制の祝賀パーティ
収受したご祝儀の額が雑収入になってしまうのなら、いっそうのこと会費制にしたらどうなるのでしょうか。国税不服裁判所の昭和62年8月の裁決では、会社が記念行事に参加した者から会費を集めて、その行事の費用を支払った場合、参加者から集めた会費による支払いと、会社の負担した会費による支払とは明確に区分することができるので、参加者の会費の支払は、会社が支出した交際費にはならないとのことです。会社が負担した会費のみが会社に係る交際費になります。
祝賀会を開催するのに、税金のことだけを考えて、会費清がいいとは思しませんが、一応考慮されてたらいかがでしょうか。

●会社主催の行事

会社主催の旅行やゴルフコンペも同じことがいえます。会費制であることを明確にするためには、案内状などにその旨を記載しておきたいものです。

 

 

 


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1996年08月01日