第37号 保険金で損害賠償したとき、事故でケガをして受け取った保険金

 英国のダイアナ元皇太子妃が、不慮の事故死を遂げて早1ヶ月がたちましたが、ダイアナファンであった私の娘は、運良く仕事でロンドンへ行ったので、葬儀の翌日、ケンジントン宮殿へ献花のために出かけました。その折り顧問先の社長で芸術家の佐々木重光氏から「ダイアナ妃に捧げる」というタイトルの、すばらしい色紙のメッセージをお預かりして持参しました。娘の話では、とにかく人、人、人で、宮殿の前までたどり着くのが大変で、丁度初詣に出かけたとき順番を待つような感じとのことでした。
 さて、今回の事故は、パパラッチが原因らしいとのことですが、もし、あなたが交通事故を起こし加害者となった場合のとってもこわーいお話をしましょう。

 

保険金で損害賠償をしたとき

 

 自動車を運転する人は、誰でも皆自動車保険に加入していますよね。たとえば、あなたがスピード違反などの不法行為によって事故を起こし、相手が亡くなって、1億円の損害賠償金を請求され、保険会社がこれを支払ってくれた場合を想定します。やれやれ1億円支払ってくれたから、自分は一銭も支払わなくて済んで、ひと安心と思っていたら大変。実はこの1億円は何?そうあなたに支払われたものなのです。ですからあなたの一時所得になります。では、支払った1億円の損害賠償金は何?一時所得の必要経費ではないのですか?いえいえ、損害賠償金は必要経費にはならないのです。ですから、(1億円-50万円)×1/2=4,475万円が所得になり、所得税・住民税合わせて、2,261万円の税金を支払わなければなりません。え!こんな話聞いたことないとおっしゃるもの無理ありません。法律がこの様に規定されているのに、実務上は課税していないとのことですから。少しビックリしましたか。しかし、あくまで法律の上では課税されても文句は言えないので、車の運転には、充分気をつけましょう。この原稿を書いた翌日、車になって信号待ちで停車していると、前にいた車が急にバックしてきてぶつかってしまいました。ボンネットが折れ曲がりましたが、幸い身体は無事でした。くわばら、くわばら。

事故でケガして受け取った保険金

 損害保険でも生命保険でも、本人の身体の傷害に基因して受け取る保険金や、心身に加えられた損害について、支払を受けた慰謝料等は、非課税です。また、受取人が本人以外の配偶者、親、子供などの親族である場合も、非課税となります。

 

余命6ヶ月以内とされ受け取った保険金

 最近ある人から生命保険に加入したのですがもし、余命6ヶ月以内と診断され、生前に保険金を受け取ったら、税金はどうなるのでしょうかと聞かれました。最近の生命保険は、その内容が多様化して傷害ばかりでなく、疾病等による高度障害の状態になったことにより、生前に保険金を受取ることのできる特約の付いているものが、多いと思います。
 通常、生前に死亡保険金を前払いとして受取った場合、その保険金は、上記の傷害によって受取る保険金と異なり一時所得となります。
 しかし、解約を除いて、生前に給与される保険金は、死因を原因とするものでなく、重度の疾病に基づいて支払われるものと考えられるので、損害保険・生命保険契約に基づいて支払を受ける高度障害保険金、高度障害寄付金、入院給与金等も、「身体の障害に基因して支払を受けるもの」に該当するものとして、非課税になります。
 後日、もしその保険金を亡くなる前に使ってしまわなければ、残った現金全額に対して相続税の対象となります。これに対して、生前に給付を受けず、死亡してから相続人が死亡保険金として受取った場合は、相続税の対象となりますが、相続人1人につき500万円の控除があります。

 


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1997年10月01日