第350号 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存,インボイス登録件数,インボイスへの準備 買い手側

給与所得者の扶養控除等申告書等の保存

 今年も年末調整の時期がやってきました。年末調整とは、源泉徴収した税額の年間の合計額と、年税額を一致させる精算の手続です。大部分の給与所得者は、この年末調整によって、その年の所得税の納税が完了することになります。

1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人は、年末調整は行いません。しかし、例えば譲渡所得や事業所得など、他の所得が2,000万円を超えても、給与収入が2,000万円以下であれば、年末調整は行います。


年末調整の際、給与所得者が、給与の支払者に提出する扶養控除等申告書等は、給与の支払者を経由して所轄税務署長に提出することになっています。しかし、その扶養控除等申告書等を所轄税務署長が提出を求めるまでの間は、給与の支払者(源泉徴収義務者)が保存することとされています。


つまり源泉徴収義務者は、税務署長から提出を求められるまで、保存しなければなりません。
 保存期間は、翌年1月10日の翌日から7年間です。

インボイス登録件数 

インボイスの登録件数は、令和5年9月末日現在、3,784,612件です。申請件数は、約425万件です。
インボイス制度のない時の課税事業者は、法人・個人合わせて約300万でしたから、現在申請中を含めて125万余の免税事業者が課税事業者を選択したということです。
9月30日に3,784,612件が登録済ですが、取引先が登録されているかを下記で確認できます。


国税庁インボイス制度
適格請求書発行事業者公表サイト
https://www.invoice-kohyo.nta.go.jp/

法人の場合は、法人番号の頭にTを付けたものが
インボイス番号となりますので、取引先の法人のインボイス番号がわからない場合は、

まず法人番号を検索して、それで検索しますが、個人の場合はできません。
国税庁社会保障・税番号制度
法人番号公表サイト
https://www.houjin-bangou.nta.go.jp/

 

インボイスへの準備 買い手側

買い手側は、2割特例や簡易課税制度を適用する場合、仕入税額控除のためにインボイスの保存は不要です。消費税の計算上でインボイスの保存は不要であっても、法人税や所得税の計算上では、請求書や領収書の保存は必要です。
原則課税の場合は、継続的でないような一度きりの取引、少額な取引についても、原則としてインボイスの保存が仕入税額控除の要件となります。
継続的な取引については、仕入先から受け取る請求書等が記載事項を満たしているか確認してください。
前々年の売上高が1億円未満の一定規模以下の事業者は、1万円未満の取引について帳簿のみの保存で仕入税額控除が受けられるため、インボイスの保存が不要です(ただし、経過措置終了後である令和11年10月1日以降の取引は、インボイスが必要となります)。
消費税の計算上でインボイスの保存は不要であっても、請求書や領収書の保存は必要です。
受け取った請求書等は、インボイス番号のありなしで取引先ごとに、区分して保存することが重要です。
免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置(80%控除50%控除)の適用を受けるには、区分記載請求書の保存が必要です。
3万円未満の公共交通機関や従業員に支払う日当や出張旅費、通勤手当などインボイスの保存が不要となる特例もあります。
帳簿への記載方法や仕入税額の計算方法
インボイス制度の開始後も帳簿の記載事項は変わりません。インボイス保存不要な特例や免税事業者からの課税仕入れに係る経過措置の適用を受ける場合、その旨の記載が必要です。
仕入税額の計算方法は、積上計算と割戻計算があります。売上税額を積上計算すると仕入税額も積上計算が必要です。

 

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2023年11月01日