第276号  親の土地に子供が家を建てたとき

親の土地に子供が家を建てたとき

 土地の貸し借りが行われる場合に、借り手は地主に対して地代を支払います。
 権利金の支払が一般的となっている地域においては、地代のほか権利金などの一時金を借地権設定の対価として支払うのが通例です。しかし、親の土地に子供が家を建てたときに地代や権利金を支払うことは通常ありません。
 このように地代も権利金も支払うことなく土地を借りることを土地の使用貸借といいます。
 親の土地を使用貸借して子供が家を建てた場合、子供が親から借地権相当額の贈与を受けたことになるのではないかという疑問が生じます。
 しかし、使用貸借による土地を使用する権利の価額はゼロとして取り扱われていますので、この場合、子供が借地権相当額の贈与を受けたとして贈与税が課税されることはありません。


 ただ注意すべきことがあります。


この使用貸借されている土地は、将来親から子供が相続する時に相続税の対象となります。相続税の計算のときのこの土地の価額は、他の人に賃貸している土地ではなく親が使っている土地として評価されます。つまり、アパートを建てた敷地であっても、貸家建付地としての評価額でなく自用地としての評価額になりますから、親がアパートを建てている敷地よりも、評価が高くなります。
子供が親の土地を借りてアパートを建てれば、収入は子供に入ります。親の所得税は、その分低くなりますし、子供は資産形成ができます。
遺産相続をどうするのか、相続税と所得税、どちらを優先するかは、個人個人の考え方なので、どちらが良いとは言えません。
いずれにしましても、何か不動産を動かすとき、買ったり、売ったり、建てたり、壊したり、贈与したりする場合は、その行動する前に、必ず永嶋税理士事務所へご相談ください。後からでは間に合わない場合が、しばしばございますので。

 

 


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2017年09月01日