第211号  帳簿の保存期間・延長、減価償却制度改正

平成23年度税制改正は、国会の審議が進まず、当初案の一部が23年6月22日と11月30日に修正されながら成立しましたが、今月は11月30日に成立、今日4月1日から適用になる欠損金の繰越控除制度と減価償却について取り上げます。


帳簿の保存期間・延長

欠損金の繰越控除制度

  平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金額について、青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間が9年(現行7年)に延長されました。 

  平成24年4月1日以後に開始する事業年度から、中小法人等以外の大企業について、欠損金の繰越控除制度における控除限度額について、その繰越控除をする事業年度の繰越控除前の所得金額の100分の80相当額になります。すなわち大企業については、赤字でも損失額の20%分は、課税されることになりました。

  中小法人等については、現行の制度が維持され100%控除されます。ただし、その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件となります。
従来は、5年間くらい保存しておけば良いと思っていらした方は、今回からは、保存しなければ繰越欠損金を認められなくなる場合が出てきますので、平成20年4月1日以後に終了した事業年度分以後は、9年分保存をお願いいたします。

◎帳簿書類とは

  帳簿を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成又は受領した書類を帳簿と併せて「帳簿書類」といいます。
具体的には、「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあり、また、「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。

中小法人等とは、次の法人をいいます。

①普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(資本金の額又は出資金の額が5億円以上の法人の100%子法人を除きます。)又は資本若しくは出資を有しないもの(相互会社等を除きます。)
②公益法人等
③協同組合等
④人格のない社団等 

 

 

減価償却制度について

  平成24年4月1日以後に取得をする減価償却資産の定率法の償却率は、定額法の償却率(1/耐用年数)を2.0倍した数(現行2.5倍した数)とします。なお、改定償却率及び保証率についても所要の整備が行われます。
所得税についても同様となります。

注 定率法を採用している法人が、平成24年4月1日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度において、同日からその事業年度終了の日までの期間内に減価償却資産の取得をした場合には、、その減価償却資産を平成24年3月31日以前に取得したものとみなして、現行の償却率による定率法により償却することができる経過措置があります。

 

 


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2012年04月01日