物品税と消費税
消費税を10%まで引き上げることがいよいよ本格的な話になってきましたが、顧問先の社長さん方は、嘆いています。5%から10%に消費税を上げるなんて、簡単なことではなく、 自分たちの会社は、その高くなる5%分は、値上げできず、自分たちの会社が被ることにな ると。消費税を上げるくらいなら、昔あった物品税を復活させた方がよいのじゃないです か?と言われます。
平成元年4月1日の消費税法導入のとき、国税庁によると、個別間接税のみに依存する、間接税制度を採っているのは、世界の主要国のうち、今やわが国だけであること、課税すべき物品やサービスを客観的基準に従って選択し、特定することが困難であること等で、消費税が導入されました。
物品税のアンバランスについて、例えば、毛皮製品は課税、高級毛織物・絹織物は免税、ゴルフ用具は課税、テニス用具は免税、普通の家具は課税、桐製家具・漆塗りの家具は免
税となっていました。
つまり、何を課税にして、何を非課税にするかが難しいということだったのでしょうか。
物品税は、消費税法施行に伴い廃止されました。
これだけIT化が進んだ今なら、昔と違って、品物によって税率を違えても、消費税の計算は可能かもしれませんね。物品税を復活させるのではなく、品物によって税率を変えればよいと思います。すべての品物を10%にするより、贅沢品について、10%より高くし、食料品のような生活必需品は、10%より低くして、幅をもたせればと思いますがいかがでしょうか?
2010年10月にできた羽田空港に、シャッターのついた個室の駐車場ができたとのこと。
空港会社の人は、お客様の要望で作りましたとのことでした。
また同じく10月 22日新規オープンしたザ・キャピタルホテル東急(東京・赤坂)の最も高い218平方メートルの「ザ・キャピタルスイート」が、1泊65万円、45平方メートルの
スタンダードタイプで、6万5,000円といいます。どんなに高くてもどんなに贅沢なことで もよいとするものには高い消費税を課税してはいけませんか?
高い方がステータスと思うかも知れませんから。でも、物品税の時のように、何を何%にすることが難しくなるので しょう。現実に、EUの各国の消費税率をみると、その苦労が分かります。フランスを例にとると、付加価値税(消費税)19.6%ですが、不動産取引・金融保険・医療・教育・郵便等は非課税、食料品・水道・書籍・旅客運送・肥料等は、5.5%,新聞・雑誌・医薬
品等2.1%です。イギリスは、付加価値税(消費税)は、17.5%です。非課税は似たよう なものですが、食料品・水道・新聞・雑誌・書籍・国内旅客運送・医薬品・居住用建物の建築は、消費税0%です。家庭用燃料及び電力は5%です。ドイツは、付加価値税(消費税)は、19%です。フランスに似ていますが、食料品・水道・書籍・旅客運送は7%です。
2008年国立国会図書館調査及び立法考査局資料より
昭和63年当時 物品税例示
第1種の物品(小売課税)
(1) 小売価格の15% 貴石、半貴石、真珠、
(2) 小売価格の10%
じゅうたん、どん帳等の繊維製、調度品、
第2種の物品(製造課税)
(1) 販売価格の30% ヨット,ゴルフ用具
(2) 販売価格の20% 大型冷蔵庫、ルームクーラー
家具類、大型TV(ブラウン管の最大径69cm超)
(3) 販売価格の18.5% 小型乗用自動車
(4) 販売価格の15.5% 軽乗用自動車
(5) 販売価格の15% 湯沸かし器、電気掃除機、
全自動電気洗濯機、扇風機、小型テレビ
(6) 販売価格の10.5% 乗用兼用貨物自動車
(7) 販売価格の10% 全自動以外の電気洗濯機
(8) 販売価格の5.5% 軽乗用兼用貨物自動車
(9) 販売価格の5% 小型二輪自動車,コーヒー
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