第221号  平成25年度税制改正大綱

平成25 年度税制改正大綱

  1月24日に自民・公明両党は平成25 年度税制改正大綱を発表しました。
わが国の経済は、円高・デフレ不況が長引き、足下では、貿易赤字の拡大、国内の成長機会や若年雇用の縮小、復興の遅延等、閉塞感は深刻さを増している。こうした危機に立ち向かい、これを突破するためには、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」によって、これまでのいわば「縮小均衡の分配政策」から、「成長と富の創出の好循環」へと転換させ「強い経済」を取り戻すことに全力で取り組まなければならないとしています。

これからの国会で論戦が繰り広げられると思いますが、その中で即私たちの生活にかかわる所得税と相続税について取り上げます。


(1)所得税の最高税率の見直し

所得税については、これまでの大幅な累進緩和の結果としてフラット化が進み、わが国経済に格差拡大の傾向が見られる中で、所得再分配機能が低下している。こうした状況を受けて、所得税の最高税率の引上げを行う。その際、平成26 年4月からの消費税率の引上げや、平成25 年からの復興特別所得税による負担増等にも配慮し、特に高い所得階層に絞って一定の負担増を求めることとし、平成27 年より、現行の所得税の税率構造に加えて、課税所得4,000 万円超について45%の税率を設ける。


(2)相続税・贈与税の見直し

相続税については、地価が大幅に下落する中においても、バブル期の地価上昇に対応した基礎控除や税率構造の水準が据え置かれてきた結果、課税割合が低下する等、富の再分配機能が低下している。こうした状況を受けて、課税ベースの拡大と税率構造の見直しを行う。

具体的には、平成27 年より、相続税の基礎控除について、現行の「5,000万円+1,000 万円×法定相続人数」を「3,000 万円+600 万円×法定相続人数」に引き下げるとともに、最高税率を55%に引き上げる等、税率構造の見直しを行う。その際、個人の土地所有者の居住や事業の継続に配慮する観点から、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、居住用宅地の限度面積を拡大するとともに、居住用宅地と事業用宅地の完全併用を可能とする等の拡充を行う。

としています。

 平成22年の政府税制調査会は、相続税について100人のうち4人しか負担していない現状を問題視していましたが、民主党政権の間は法律が成立しないままになっていました。

土地の価格を、昭和58年当時100とした場合、バブル期は336.8、平成22年は72.9となります。

バブル期に急に地価が高騰したため、自宅まで処分しなければならなかった人等への配慮から、昭和58年の基礎控除額「2,000万円+400 万円×法定相続人数」を平成6年から現在の「5,000万円+1,000 万円×法定相続人数」にしました。しかし平成22年でも昭和58年より地価が下がっていますし、現在でも下がるか横ばいのところが多いため、安倍政権は、納税者の負担軽減のために見直したまま手つかずになっている基礎控除の引き下げや、税率構造の見直しをすることにしています。

今まで相続税の納税者は4%くらいでしたが、これからは、自宅と多少の預金・有価証券・生命保険のある方も申告が必要になるでしょう。富裕層だけでなく、中間層への増税が景気にどのように影響するのでしょうか。日々の節税対策が大切です。


 

 


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2013年02月01日