第35号 重い消費税の負担、ボランティア活動に課税?

重い消費税の負担

 昨年消費税が改正され、この4月から5%に税率が引き上げられましたが、この5%の陰にもっと大きな問題があったのです。課税売上げ高が5.000万円以下の業者について認められていた限界控除制度が、平成9年4月1日以後開始する課税期間から廃止されました。また、簡易課税制度のみなし仕入れ率について、不動産業、運輸通信業、サービス業を第5種事業とし、そのみなし仕入れ率が50%になりました。このため、たとえば課税売上げ高が4,000万円のサービス業を行っている会社で、簡易課税制度を選択している会社は、昨年度までは、消費税を24万円納付していましたが、これからは、同じ売上高でも、100万円の消費税を納付しなければなりません。
 限界控除制度や簡易課税制度は、益税を発生させているのと根強い世間の批判があることは、充分承知していますが、現実に小さな会社が、100万円もの消費税を納付しなければならない事実を目の前にして、とても心が痛みます。
 売上高に対して、必ず5%の消費税を受け取ることができれば、何も問題はないのです。どうしても価格を引き下げた上で、5%を上乗せする形になってしまうので、実質的に消費税を受け取ることができないのですが、零細企業の実態なのです。
 法人の、確定申告書を作成し、納付税額一覧表を見るにつけ、他の税金に対して消費税の大きさを思います。いつも、顧問先の会社の社長に、大変ですねといいながら納付書をお渡ししています。
 消費税の負担は、これから先、更に大きくなっていくと思いますので、納付時にあわてなくてすむように、あらかじめ預金をしておきましょう。


ボランティア活動に課税?

 昨日、永嶋事務所の顧問先である社団法人東京都身体障害者団体連合会(以下「都身連」とする)の新事務所移転の開所式に出席しました。衆議院議員の八代英太氏も当連合会の顧問として出席されていました。都身連は、身体障害者福祉法の制度を機に、昭和25年8月に各地区に結成されていた身障者団体の統一連合体として結成されました。現在都内22区、25市、6町村の53の身障者団体が加盟して活動を行っています。都身連は設立以来、全国の身障者団体のリーダー的存在として身体障害者及びその家族の福祉の増進につとめ、福祉講座や福祉展、スポーツ大会の開催、教養文化の向上等の諸事業を実施しています。47年間の活動の末、やっとちいさな35㎡の自前の事務所が持てたのです。
 昨年は上記の53の団体や来賓の方が多く出席されていましたが、その折、A市から出席された身障者団体の代表の方から質問があるのですがといわれました。市内の公共施設に置いた自動販売機について、業者から取得した年間20万円位の収入に対して、市役所から5万円の市民税を支払うように言われたとのことです。もちろんその20万円は、A市全体を対象にした身障者団体のボランティア活動の資金として使用するのです。以前にもS区の方から相談を受けたときに、区役所の課税課と話したことがあるのですが、身障者団体の人に限って使用しているから課税の対象にはなるが、あえて課税はしないとのことでした。各身障者団体の役員の方々は、いつも手弁当で活動しています。私に関して言えば、「都身連」の監査の祭、私は当然報酬を頂いて仕事をするのですが、監事の皆様は無償で出席されています。
 法人税法の上からは、課税することになるかもしれない条件であったにせよ、なんと行政の貧困さ、心のないことかとあきれ、かつ、 りを覚えます。これに対して、町田市では、市から無償で事務所を提供され、活動に対して補助金もあるそうです。同じ東京に住んでいながら市区町村の対応に違いがあることも、首をかしげたくなります。
 今日は、愚痴号になってしまいました。


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1997年08月01日