第59号 又々増税?、住宅取得のための贈与

又々増税?

会社は、国に法人税・消費税・源泉所得税を、都や県に都(県)民税・事業税・地方消費税を、 市や区に市(区)民税を納付しています。このうち、現在では、預かり金である消費税・源泉所得 税等を除いて、赤字企業の場合は、市都民税の均等割以外、納付の義務はありません。

ところが7月9日、政府税調の委員会報告がありました。個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るために、地方分権を推進することが重要な課題となっており、地方団体の自己決定 権と自己責任を拡充し、応益課税をより明確化し、税負担を薄く広くすることによって、公平性を図り地方税の充実確保を求めています。そのため、付加価値加算方式による、外形標準課税の導入を、できるだけ早期に行うことが望ましいと、発表しています。むずかしいことのようですが、 簡単に言うと今迄は、所得(もうけ)のある会社だけが事業税を納めていたのですが、この法律が施行されると、会社の利潤・給与総額・支払利息・リース料などを合計した金額(付加価値)を基 準として課税しますよということです。給与を支払わない会社はない訳ですから、赤字会社でも当然に納税義務が生じます。一応、中小法人には一定の配慮を行うということで、従来の所得 基準による課税と、外形基準による課税とを併用するようですが、 '97年度の統計によると全法 人の約64%、数にして約160万社が赤字法人となっており、中小零細企業の場合、この割合は もっと大きくなっているので、今後事業税の納税額が増加することはまちがいないと思います。 

また、付加価値として例えば給与総額をあげていますが、福利厚生費はどこまで含くまれるのか実務上はむずかしい問題が沢山出てくると思います。2,000年度の税制改正案に盛り込まれ ることが予想されますので、今後の動向を注意深く見守っていきたいと思います。 


住宅取得のための贈与 

 今年度の税制改正は、厳しい経情情勢を踏まえ、景気に配慮する改正が行われました。その 中のひとつに住宅取得のための贈与税の特例があります。永嶋税理士事務所通信第13号に掲載しましたが、今回更に有利になりました。子供が一戸建てやマンションを買いたいからと、 親が子供にお金をあげると贈与税がかかりますが、一定の要件をクリアすれば1,500万円まで の部分については、贈与税が軽減される特例があります。そのうち300万円までは、贈与税がか かりません。

贈与税が軽減される要件

① 住宅を買うために本人が、両親又は祖父母から現金をもらうこと。
② 現金をもらった日前5年間に、本人又はその配偶者の持っていた住宅に住んでいないこと。
③ 本人の合計所得が 1,200万円以下であること。
       *サラリーマンの年収 1,442万円以下です。
④ 購入した住宅の床面積が、50㎡以上であること。(上限がなくなりました。)
⑤ 中古住宅を購入した場合には、その建築経過年数は耐火建物であれば25年以内、
   木造住宅であれば、20年以内である必要があります。
⑥もらった現金で住宅を購入して、翌年 3月15日までにそこに住むこと。 
⑦確定申告をすること。  

以上の要件をすべてクリアした場合にはじめて贈与税が軽減されるので、要件に注意しながら贈与して下さい。 

  ☆ 500万円贈与した場合の贈与税額 20万円  
  ☆1,000万円贈与した場合の贈与税額 70万円 
  ☆1,500万円贈与した場合の贈与税額 152万5千円

 



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1999年08月01日