来年から相続税が高くなります
亡くなられた方(被相続人)から相続によって財産を取得した相続人の課税価格の合計額が、遺産にかかる基礎控除額を超える場合、その財産を取得した人は、相続税の申告をする必要があります。
相続税の申告をする場合には、通常、被相続人の死亡の日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に相続税の申告と納税をする必要があります。
Ⅰ 遺産にかかる基礎控除額が引き下げられます。
・改正前 5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
・改正後 3,000万円+600万円×法定相続人の数
遺産にかかる基礎控除額とは
○各人の課税価格
各人の課税価格は、相続によって取得した財産の価額+被相続人から取得した相続時精算課税適用財産の価額-債務・葬式費用の金額+相続開始前3年以内に被相続人から取得した暦年課税適用財産の価額を言います。
○法定相続人の数
相続の放棄をした人があっても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数となります。
また、被相続人に養子がある場合には、法定相続人の数に含める養子の数については、被相続人に実子がある場合には1人、被相続人に実子がない場合には2人までとなります。
●【遺産にかかる基礎控除額の計算例】
法定相続人が、子供1人の場合
3,000万円+600万円×1人=3,600万円
改正前6,000万円
●【相続税の例】
調布市に居住している人が亡くなりました。
法定相続人は、配偶者はなく子供1人です。
家の評価200万円、土地の評価3,600万円 (小規模宅地減額後720万円)
預貯金・株式他 1,000万円
遺産総額は、4,800万円
この人の遺産総額は、4,800万円になり、相続税の基礎控除額3,600万円を超えるので、相続税の申告はしなければなりません。
ただし、この場合、小規模宅地の減額のできる条件に当てはまれば、課税総額は1,920万円となり、申告は必要ですが、相続税はかかりません。
★改正前に相続税のかかる方は亡くなられた方の4%しかいませんでしたので、一般的に相続税は自分の家は関係ない、富裕層の税金と思われていました。しかし、遺産にかかる基礎控除額が引き下げられたことにより、来年からは、相続税がかかることを考えて資産管理をお願いしたいと思います。
Ⅱ 未成年者控除の控除額が引き上げられます
・改正前 20歳までの1年につき 6万円
・改正後 20歳までの1年につき10万円
Ⅲ 障害者控除の控除額が引き上げられます
・改正前 85歳までの1年につき 6万円 特別障害者 12万円
・改正後 85歳までの1年につき10万円 特別障害者 20万円
Ⅳ 小規模宅地の特例
○居住用の宅地等(特定居住用宅地等)の限度面積が拡大されます。
・改正前 限度面積240㎡ 減額割合80%
・改正後 限度面積330㎡ 減額割合80%
○居住用と事業用の宅地等を選択する場合の適用面積が拡大されます。
・改正前 特定居住用宅地等 240㎡
特定事業用等宅地等 400㎡ 合計400㎡迄
・改正後 特定居住用宅地等 330㎡
特定事業用等宅地等 400㎡ 合計730㎡迄
ただし、貸付事業用宅地等について適用を受けない場合に限ります。
※ 相続には相続と遺贈(遺言により財産を取得する)があります。相続税法の規定をこの通信に正しく書きますと、文章が煩雑になりますので、相続のみについて書きました。詳しいことは、永嶋税理士事務所迄お問い合わせください。
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