社会保険の加入
社会保険の未加入が問題になっています。国土交通省の発表によりますと、平成24年11月から26年3月までの間、建設業許可を申請するなどした全国の231,787社のうち、27,138社(11.7%)が社会保険に未加入だったと発表しました。他の業界に比べて加入率が低く、29年度をめどに全社の加入を目指しています。
平成26 年5月16日、国土交通省は、国土交通省直轄工事において、発注者と建設業所管部局が連携して行う建設業者の社会保険等未加入対策に関する通知を発出しました。
○ 平成26年8月1日以降に入札手続を開始する
国土交通省直轄工事において、
・社会保険等未加入建設業者に対する指導監督を強化します。
・元請業者及び一次下請業者は、原則的に社会保険等の加入業者に限定します。
建設業者の社会保険等(健康保険、厚生年金保険及び雇用保険)未加入対策については、従来より建設産業の持続的な発展に必要な人材の確保等の観点から建設業所管部局において取り組んできたところです。この度、発注者として、社会保険等に加入し、法定福利費を適切に負担する建設業者を確実に契約の相手方とすること等を通じて、公平で健全な競争環境を構築する観点から、地方整備局等に対し上記内容に係る通知を発出しました。
国は、未加入者対策を本気で始めたらしく、顧問先各社へ年金機構の担当者が指導に訪れています。
法人であれば、法律で社会保険に加入をしなければなりません。個人事業主でも、5人以上の従業員がいれば、社会保険に加入する義務があります。
ただし、一部のサービス業・・・旅館、飲食、理美容業、弁護士事務所、税理士事務所などを営む個人事業主の場合は、任意の適用になります。
経営者にとっては、社会保険料は重い負担になりますし、雇用者も国民年金より高いかもしれません。
しかし、メリットの方が大きいのです。
経営者側からみれば、雇用の確保です。今まではリーマンショック以来、中小企業でも人材確保が容易でしたが、これからは、社会保険のある会社が有利になります。
雇用者側からすれば、支払うときは、国民年金+国民健康保険に比べて少し支払金額が多くなると思います。しかし、妻の年収が130万円未満であれば、妻は自分で国民年金を支払わずに、国民年金を納付したことになります。また受給する場合は
先ず、健康保険からの支給として、療養費の給付・家族療養費・高額療養費・傷病手当金・出産手当金・ 出産一時金・埋葬料 などがあります。
厚生年金保険からの支給として、特別支給の老齢厚生年金(60~65歳)・老齢基礎年金・老齢厚生年金(65歳~)・ 障害基礎年金・障害厚生年金・障害手当金・遺族基礎年金・遺族厚生年金などがあります。
年金は、最低25年は、掛けないと支給されませんし、厚生年金と国民年金の加入期間が同じであるにもかかわらず、厚生年金と国民年金の加入が後か先かの違いで、遺族の受取る年金に大きく差がでます。厚生年金に加入中の被保険者が死亡した場合の方が、より厚く保証されています。
未加入の方は一刻も早く厚生年金に加入されることを、お勧めいたします。もう年齢的に間に合わないという方は、ご相談してください。
幼いお子さんがいらっしゃる方は、特に加入をお勧めいたします。万が一、被保険者である父親が亡くなったら、お子さんが18歳になるまで遺族年金が支給されますし、妻は一生支給されます。夫が亡くなった妻には手厚い保護があり、遺族年金は非課税です。妻が働いていて年収850万円未満であれば、遺族年金は支給されますし遺族年金には課税されません。民間の生命保険に入っているから社会保険は入りたくないとお考えの方は、どちらが得か、よーく考えてください。
日本年金機構や国土交通省その他の機関の取り組みが強化される前に加入しましょう。調査で加入しなければならない場合は、2年間遡るとの情報有。
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