第96号 顧客勘定元帳とクロス取引き

顧客勘定元帳とクロス取引き

証券税制が改正されるので、この際収益の拡大を図ろうと商魂たくましく、連日のように各証券会社が宣伝をしています。


 源泉分離課税が今年末で廃止になるため、来年から申告分離課税に一本化され、株式を売却したら、原則として売却益に対して20%の税金がかかります。
(各種経過措置はありますが、今月は省略します。)


《売却益=売却価額-購入価額-証券会社などの手数料》 売却益はこのようにして計算するのですが、ここで問題なのは、購入価額です。過去のことなので、購入した時の書類を保存している人は一体どのくらいいるのでしょうか。金額を覚えているだけではダメなのです。
証拠書類がなければなりません。もしない場合は? 次のうちから選択します。


①売却価額の5%とする


②平成13年9月30日の株価の80%とする


 上記の①②の金額が実際の購入金額に近い金額であればめんどうな手続きをしないでそれでOKと思いますが、金額が掛け離れていたらつぎのことを考えてみたらいかがでしょうか。


③購入した証券会社で、顧客勘定元帳の証明書を発行してもらう。(但しその証券会社に顧客として登録されている場合で、しかも過去10年間分しか証明されません。)


④今年の末までに、証券会社で売りと買いを同時に行うクロス取引きを行う。

年内に行う事で売却代金の1.05%の税金と多少の手数料がかかりますが、今後のことを考えた場合、安心かも知れません。ただし、現在の価額が②より低い場合は②を選択します。しかし、平成13年9月30日は、同時多発テロの直後のため、多くの株の時価は低くなっています。①から④までどれを選択するのが有利かよく考えてから行動しましょう。

 

 

 

 


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2002年09月01日