第128号 人材投資促進税制 働く女性と子育て

人材投資促進税制

  平成17年4月以後開始する事業年度から、新たに教育訓練費の一定割合を法人税額から控除する制度が創設されました。(3年間の時限措置) これは、わが国の研修費用の給与総額に対する割合が欧米の1/2、中国の約1/5と、90年代以降人材投資が減少し、人材の国際競争で欧米・中国に劣後する恐れがあり、すぐに利益につながらない中長期的な投資である教育訓練費を拡大させることは、わが国の重要課題であると、経産省主導でできたものです。

 ① 基本制度 教育訓練費を前2年間の平均額より増加させた企業について、その増加の25%    に相当する金額を当期の法人税額から控除する。(法人税額の10%限度)
 ② 中小企業の特例 中小企業については、教育訓練費を上記基準額より増加させた場合、      教育訓練費の総額に対し、増加率の1/2に相当する税額控除率(上限20%)を乗じた
    金額を当期の法人税額から控除する。(法人税額の10%限度。)
  中小企業については、①と②のうち有利を選択可能、また地方税(法人住民税)においても
  適用があります。

◎対象となる教育訓練費
 講師・指導員等経費…社外講師、指導員に支払う講師料、指導員料
 教材費…研修用の教材、プログラムの購入料等
 外部施設使用料…研修を行うために使用する外部施設・設備の借上料、利用料
 研修参加費企業…経営の観点から企業が従業員の教育訓練上必要なものとして指定した
             講座等の受講費用、参加費用
 研修委託費…講師、教材等を含め研修全体を外部教育機関へ委託する場合の費用

 【中小企業の特例の適用例】
 教育訓練費が前2事業年度平均100万円の企業今年20万円(20%)増加させた場合
 ①基本制度 20万円×25%=5万円
 ②中小企業の特例 (100万円+20万円)×10%(20%÷2)=12万円
   ①<② なので12万円 
   ただし、法人税額の10%が限度


  働く女性と子育て

平成17年4月施行の育児休業基本給付金は、被保険者が、厚生労働省令で定めるところ
により、その1歳に満たない子を養育するための休業をした場合、その休業を開始した日前2
年間に、被保険者期間が通算して12か月以上であつた者に、支給されます。今回の改正で
1歳を限度としてきた育児休業期間について、保育所への入所ができない場合等一定の場合
には、1歳6か月までの休業が可能となりました。その間社会保険の会社負担や個人負担もなく、雇用保険から育児休業基本給付金の支給を受けることができます。上限額は129,870円となり
ます。
 【育児休業基本給付金の支払例】
 ① 休業中に事業主から支払われた賃金額が、休業前の50%以下であるとき。
    「休業開始時賃金日額×30日×30%」相当額
 ②  休業中に事業主から支払われた賃金額が、休業前の50%を超え80%未満であるとき。
   「休業開始時賃金日額×30日×80%-当該賃金額」 (0%から30%)。
 ③ 休業中に事業主から支払われた賃金額が、休業前の80%以上であるとき。支給されない。  その他育児休業後に職場復帰した場合に支給される『育児休業者職場復帰給付金』もあります。

育児休業は大会社の話で中小企業には関係ないとは、昔のこと。働く女性が増加した現在、
国も支援を毎年少しづつ手厚くして、企業の負担のないよう、中小企業の社員にも育児休業を
取りやすくしています。経営者の皆様も優秀な女性の社員を確保するため、働きやすい環境つ
くりをお願いします。

 

 

 

 


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2005年05月02日