第138号 確定申告はお早めに 上場株式等の配当

確定申告はお早めに  

税理士会では、税理士法に基づいて、事業者の経済的理由がある場合に、無償又は定額で税務指導の支援をしています。そのひとつに確定申告時期に各区市町村において、無料で確定申告相談会を実施しています。税理士は誰でも最低年1回以上は出席して税務相談をしなければなりません。私は今年、2月15日に調布のたづくりの会場に出席しました。

実態は、経済的理由がある事業者の方より、年金所得者が大多数を占めます。今年から老年者控除が廃止されたり、公的年金控除額が減少したため、今まで非課税だった方も、多くの方が納税になりました。

平成17年分から新たに、年金収入に対して源泉徴収を受ける方は170万人以上になるそうです。増税になった分源泉徴収税額も増加していますので、確定申告税額は納付する方、還付になる方さまざまですが、申告にいらした方がとても多くなったのが印象的でした。税理士会主催の調布市、府中市、狛江市の確定申告相談会は、2月で終了しています。

年金のみの収入の方には、確定申告しなくてもよい税制にしてほしいものです。


上場株式等の配当 

上場株式の配当金については、所得税15%・住民税5%を源泉徴収されますが、現在は特別な期間(平成16年1月1日から平成20年3月31日まで)として、所得税7%・住民税3%となっています。

  原則として配当金は総合課税で、他の所得と共に確定申告をし、後述する配当控除額を差し引きして申告します。ただし、平成15年4月1日以降、上場株式等の配当金は、少額配当申告不要制度の適用上限額が撤廃されて、高額な配当金でも確定申告が不要となります。もちろん確定申告して、源泉徴収税額を還付してもらうケースもあります。

 現在配当金の源泉徴収税率が10%のため、課税所得金額が330万円以下の方は確定申告を選択して、配当控除の適用を受ける方が有利となります。源泉徴収税率が20%となる平成20年4月1日からは、課税所得金額が700万円以下の方は確定申告を選択するのが有利となります。

  また平成16年1月1日以降、株式投資信託の収益分配金(期中の分配金・満期時の償還差益・売却時の解約差益)が、配当金課税と一元化され、税率も株式の配当金と同じになりました。

尚、公社債投資信託は、預金、債権と同じ20%の源泉分離課税です。

配当控除額は、課税所得金額が1,000万円以下の場合、所得税は、配当所得金額の10%、住民税は2.8%、課税所得金額が1,000万円超の場合は、所得税は5%住民税は1.4%になります。(私募証券投信をのぞく)

配当金や特定口座の株式の譲渡益で、確定申告が不要となった場合のメリットとしては、配偶者控除・扶養控除の適用があるか否かを判定するときや、国民健康保険の保険料算定のとき、確定申告が不要となった所得金額について、配偶者や被扶養者の所得金額に含めないで計算しますので有利になります。

非上場株式・出資の配当

永嶋事務所の顧問先や、上場していない信用金庫などの会社の配当についてはどうでしょうか。

非上場の会社の株式等の配当は、源泉徴収されるのは所得税20%のみであり、住民税は源泉徴収されません。
  非上場の会社の配当にかかる個人の住民税は、源泉徴収制度がなく、少額配当にかかる非課税措置(一回の支払金額が5万円以下、配当金の計算期間が1年以上の場合は10万円以下)も廃止されています。
 所得税には申告不要制度があり、どんなに高額な配当でも申告しないことを選択できるのに、住民税は、配当金の多寡にかかわらず、申告しなければなりません。
 所得税の申告不要制度を選択しないで、所得税の確定申告をするか、住民税のみの申告をしなければなりません。住民税にも配当控除制度がありますので、還付になる場合もあります。


 

 

 


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2006年03月01日