第204号 永平成23年度税制改正法案一部成立、6月22日に改正された消費税法、免税事業者の要件の見直し、課税売上割合95%ルールの見直し

平成23年度税制改正法案一部成立

 平成23年度税制改正法案が例年であれば1月に国会に提出し3月末に成立するところ、ねじれ国会のため、6月22日に「現下の厳しい経済状況および雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」として一部だけ成立し、6月30日に公布されました。
納税者権利憲章の策定等、納税者にとって大事な法案は先送りされました。
民主党代表野田佳彦氏は、8月30日に第95代62人目の首相に選出され、明日にも組閣を行うことですが、平成23年度税制改正を速やかに成立させるのでしょうか。


6月22日に改正された消費税法

●免税事業者の要件の見直し

 今まで、個人事業者のその年又は法人のその事業年度の基準期間(前々年)における課税売上高が1,000万円以下である場合は、その個人事業者又は法人(課税事業者を選択しているものを除く。)のその事業年度は、消費税の免税事業者となり、申告不要でした。ところが平成25年1月1日以後に開始する個人事業者のその年又は法人のその事業年度については、下記のように改正されました。

個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間課税売上高が1,000万円を超えるときは、その年は事業者免税点制度を適用しないこととなりました。つまり平成24年1月1日から6月30日までの期間課税売上高が1,000万円を超えるときは、平成25年については、免税事業者ではなく、課税事業者になるということです。今までは、前々年の売上高から判断していたのに、前年の前半の売上高をもって判断することになりました。

その年の前年1月1日から6月30日の課税売上高が1,000万円超か否かを計算するとき、その個人事業者のその年の前年1月1日から6月30日までの期間中に支払った給与等の金額(所得税法に規定する支払明細書に記載すべき)に相当するものの合計額をもって、その期間における課税売上高とすることができます。つまり、実際の課税売上高と支払給与を比較して少ない方の金額で判断してよいことになっています。


法人の場合も個人事業者と同じようになります。
ただ、法人の場合は、1月1日からではなく、その事業年度の前事業年度開始の日から6月間の課税売上高となり、法人の事業年度が12ヶ月ないときは、別途計算方法があります。


●課税売上割合95%ルールの見直し

課税売上割合が95%以上の場合に課税仕入れ等の税額の全額を仕入税額控除とする制度について、その課税期間の課税売上高が5億円(その課税期間が1年に満たない場合は年換算)を超える事業者には適用できなくなります。平成24年4月1日以後に開始する課税期間から適用されます。


 これは、課税売上高が5億円超の業者について改正になることですが、例えば1000億円の課税売上の商社があり、非課税売上が4%の40億円あったとします。仕入れ税額控除は、95%ルールがあったので、全額控除できました。改正後は、いろいろ条件はありますが、一括比例配分方式を採用した場合、仕入税額の4%分は納付する消費税が多くなるということです。以前から、大会社に有利な特例とされてきましたが、中小企業に限ることとしたものです。




 

 


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2011年09月01日