第95号 修繕費

修繕費

事業用資産の修繕費を支払ったとき、修繕費として費用にするか、資産として計上しなければ ならないかということは古くて新しい問題で、いつも判断に迷うところです。今回は法人税法上の取り扱いを記載したいと思います。

◎資産として計上しなければならない場合

固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこととなる部分
1.建物の避難階段の取付など物理的に加えた部分の費用
2.用途変更のための模様替えなど、改造または改装に直接要した費用
3.機械の部分品を、特に品質・性能の高いものに取替えた場合、その取替えに要した費用のうち、通常の取替え費用を超える部分

注意! 建物の増築・構築物の拡張・延長などは、資産の取得になります

◎修繕費に該当する場合

固定資産の通常の維持管理費用、または毀損した固定資産の原状回復費用
1.建物の移えい又は解体移築をした場合の費用
2.機械の移設に要した費用
3.地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復する場合の地盛費用
4.建物、機械が地盤沈下により、海水等の侵害を受けることとなったために行う、床上げ地上げ または移設費用
5.現に使用中の土地の水はけを良くするために行う砂利・砕石等の敷設費用および砂利等の
補充費用
6.一つの修繕の費用が20万円未満の場合
7.概ね3年ごとに行う修繕費用(但し既往の実績その他の事情から明らかな場合に限ります)

◎形式基準

修繕費になるのか、資産として計上しなければならないのか明らかでないとき、修繕費の金額が、 次のいずれかに該当する場合は、修繕費として処理できます。

1.60万円に満たない場合
2.その修理にかかる固定資産の、前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下の場合

◎特例

修繕費になるのか、資産として計上しなければならないのか、明らかでないとき、法人が継続してその金額の30%相当額と、その固定資産の前期末の取得価額の10%相当額とのいずれか少ない金額を、修繕費とし、残額を資産とする経理をしているときは、認められます。


ちょっと注意!
店舗などを賃借し、その物件に開業等のために補修を行った場合の費用については、たとえばそれがペンキの塗り替え等にすぎないとしても資産に該当します。


根拠条文 法人税施行令第54条第1項第2号
自己の建設等による資産の取得価額


ロ.当該資産を事業のように供するために、直接要した費用の額税法をわかりやすく書いているので、文章が正確でない部分があります。ご諒承ください。
参考判例 S.41.8.30広島地裁

 

 

 

 


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2002年08月01日