納税者有利の判決
土地・建物やゴルフ会員権を譲渡した場合の譲渡所得の計算は、これらの資産の譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて行います。今までは、その資産を贈与や相続によって取得している場合には、譲渡価額から差し引くことのできる取得費は、贈与者や被相続人から取得者に引き継ぐこととされており、また、その取得時期も贈与者や被相続人の取得時期を引き継ぐこととされていました。(所得税法60
条)。そのため、取得費は、贈与者等の購入代金や購入手数料などを基に計算し、贈与や相続の際に支払う不動産登記費用・不動産取得税・名義書換手数料などは、含めることができませんでした。
今回の最高裁判所の判決を受けて、国税庁は、「贈与・相続の際に支払われる不動産登記費用・名義書換手数料などについても、取得者が不動産・ゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費に含めて計算するよう取扱いを改める。」と発表しました。
なお、これらの費用を支払っている場合でも、気を付けなければならないのは、取得費に算入できるのは譲渡資産に対応するものに限られるのですから、特に、不動産の相続登記費用については、他の資産とともに名義変更する場合が多いことから、ご注意ください。
過去の譲渡所得の計算上、不動産登記費用・不動産取得税・名義書換手数料などを取得費に入れずに申告した場合、申告期限から5年以内であれば、税務署に更正の請求などの手続きにより還付されますが、収入金額の5%を概算取得費として譲渡所得を計算している場合には、登記費用をその概算取得費に加えることはできませんし、申告期限から既に5年を経過している年分の所得税については、法令上、還付できないこととされています。
相続で取得した資産を売却する場合は、概算取得費を使うことが多いと思われますので、還付される方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
何にしても、不動産やゴルフの会員権等の購入・相続・贈与があった場合は、領収証などの証拠書類を必ず保管するようにしましょう。いくら法律が改正されても証拠書類がなければどうすることもできませんので。
消費税率のUP確実に
小泉首相は、来年の9月までの在任期間中は消費税率をUPしないと発言してきましたが、1月の参議院所信表明において、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとしていくためには、与野党が立場を超えて、公的年金制度の一元化を含め、社会保障の一体的見直しに早急に取り組まなければならないとしています。いよいよ消費税率のUPが近づいてきたことをうかがわせる発言と思います。諸外国の消費税率がどんなになっているか記載してみました。日本の消費税率は、ヨーロッパの国々の消費税率に比べ特に低くなっています。
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