第17号 不動産やゴルフ会員権の譲渡損の取扱い、消費税が変わります

不動産やゴルフ会員権の譲渡損の取扱い

市況の低迷が続く現在、不動産やゴルフの会員権を売った場合、必ずしも譲渡損が出るケースが数多く見受けられます。個人が不動産やゴルフの会員権を売って譲渡損が出た場合には、利益の出ている他の所得(例えば給与所得、事業所得など)と相談(損益通産といいます)することにより税金を取り戻すことができます。
【例1】
   給与所得 500万円の人の所得税額は67万円
   その人について譲渡損が500万円出た場合
   所得金額 譲渡損 相殺後所得 → 所得税
   500万円-500万円=0円      0円      
          従って取戻し金額は67万円
【例2】
   給与所得3,000万円の人の所得税額は897万円
   その人について譲渡損が500万円出た場合
   所得金額  譲渡損  相殺後所得 → 所得税
   3,000万円-500万円=2,500万円     697万円
   取戻し税金は897万円-697万円=200万円

 所得税は、超過累進税率により課税されるため、所得が多い人ほど取戻し税金は大きくなります。
 ★ただし、不動産やゴルフの会員権を売った場合でも損益通産のできない場合がありますので詳しくは当永嶋事務所までご連絡下さい。


消費税が変わります

平成9年4月1日から消費税が大幅に変わります。例えば次のようです。

1.消費税の税率 3%→5% (娼婦税率4%+地方消費税率1%)
2.簡易課税制度のみなし仕入率について、不動産業、運輸通信業、サービス業を第5種事業とし、そのみなし仕入率を50%とするため、消費税の税額としては、25%増になります。

 簡易課税を選択している会社で、原則課税の方が有利になりそうな会社は、この際チェックをお願いします。


簡易課税の見直しをしよう

 簡易課税の選択やとりやめの届出の提出期限は、事業年度終了の日迄なので、決算の打合せのときでは間に合いません。(税理士会から国税局に改正のも申し入れしてありますが・・・)

3.限界控除制度が廃止されます。
4.保存書類と仕入税額控除
 
 本来消費税は、売上げの3%を事業者が納付することになっていますが、仕入れにかかる税額を控除できることになっています。それには仕入れに関する書類を保存しておかなければ、税額控除はできない仕組みになっています。特に来年からは、帳簿に記載し、かつ、請求書等を保存しなければなりません。しかも、その内容は、取引の年月日、相手の氏名、取引の内容、金額、支払った者の氏名等を細かく規定されています。これはどういうことかというと、請求書が、絶対に必要なので、もし、請求書がない場合には請求書に準じた内容が書いてある領収書をもらわなければなりません。


領収書に、支払った者の氏名(上様はダメ)や、具体的内容が記載されていなければなりません。

 今迄でも消費税上では、上様領収書はいけないことになっていましたが、実務上使われていることもまま見受けられました。法律の改正が来年からといっても、今から領収書の受取り方に気をつけておかないと、その時になって急に切り替えることは難しいと思います。仕入税額控除ができるかどうかは、消費税の納付に大変な差が出てきます。
 どうぞ、皆様、支払をするときはその3%の税金が戻るかどうか考えて、慎重に領収書等を受取って下さい。
☆但し、3万円未満については、必ずしも請求書を必要としません。

 

 


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1996年02月01日