第362号 年末調整と定額減税,

年末調整と定額減税

 岸田前内閣が、昨年11月に「デフレ完全脱却のための総合経済対策」として決定した定額減税は、今年の6月から実施されてきました。

年末調整の対象となる人は、原則として年調減税を受けることになりますが、給与所得以外の所得を含めた合計所得金額が1,805万円を超える人は年調減税を受けることができません。
定額減税の対象となる所得税は「令和6年分所得税」のみで、減税額は、年調減税事務本⼈30,000 円、同一生計配偶者及び扶養親族(含む16歳未満)1⼈につき30,000円(いずれも居住者に限り、ほかに住民税10,000円)です。給与所得者については、甲欄の人のみです。
年調減税事務で年調所得税額から控除する年末調整時点の定額減税額を「年調減税額」といいます。
年調減税額を控除する対象者は、年末調整の対象となる人です。ただし、給与収入が2,000万円以下の人で他の所得を含めて合計所得金額が、1805万円を超えると見込まれる人については、年調減税額を控除しないで年末調整を行うことになります。
年末調整(今年に限る)の手順
まずは例年通り住宅借入金等特別控除まで行います。
その後、年末調整時点の定額減税額に基づき精算を⾏います。この精算の手続をするためには、該当する方は、下記の申告書が必要になります。
② 扶養控除等申告書
② 基礎控除申告書
③ 配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書
③ 所得金額調整控除申告書
④ 保険料控除申告書
⑤ 住宅借入金等特別控除申告書
6枚の申告書があるのではなく、②から④は1枚の用紙で兼用されています。
つまり、「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」となっています。
各種申告書から、年末調整を行う時の現況における同一生計配偶者(年間の合計所得金額が48万円以下の人)の有無及び扶養親族(いずれも居住者に限ります。)の人数を確認します。なお、令和6年6月1日より後に雇用された人は、その後に扶養控除等申告書を提出した場合には、年末調整の際に年調減税の適用を受けることになります。
上記同一生計配偶者を年調減税額の計算に含めるためには、給与所得者が、その配偶者を記載して提出しなければなりません。「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 年末調整に係る定額減税のための申告書 兼 所得金額調整控除申告書」にチェックを忘れないでください。
年末調整終了後に作成する「給与所得の源泉徴収票」には、その「(摘要)」欄に、定額減税に関する事項の記載が必要となります。
なお、非居住者である親族欄にチェックがある場合などその親族が非居住者であるときには、その親族を年調減税額の計算に含めることはできません。

 

 

 



 

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2024年11月01日