第284号 家なき子 小規模宅地の特例

家なき子 小規模宅地等の特例

  個人が、相続や遺贈により取得した被相続人や親族の居住用の宅地等のうち、一定の要件を満たした相続人等は、合計で330㎡(100坪)まで、相続税の評価額から80%を控除した価額を課税価格とすることができます。
一定の要件:被相続人と同居・非同居で異なります。


Ⅰ 被相続人の居住用の宅地等 
1. 配偶者 : 要件無し
2. 同居親族: 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に
居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
3. 非同居親族(家なき子と言われる相続人):被相続人に配偶者がいないこと、
被相続人の他の相続人が同居してないこと、相続開始前3年以内に日本国内
にあるその人又はその人の配偶者の所有する家屋に居住したことがないこと、
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること


Ⅱ 被相続人と生計一親族の居住用の宅地等
1. 配偶者 : 要件無し
2.生計一親族: 相続開始の時から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に
居住し、かつ、その宅地等を相続税の申告期限まで有している人
この小規模宅地等の特例は、バブル期に土地が高騰し続け、自宅しかない人が納税に苦しんだための救済措置としてできました。特に以下に書いた家なき子は、親と同居していた子供が転勤等で、相続開始日に離れて暮らしていて、帰ることができない人を救済するために作られた法律です。3月までは以上のようでしたが、80%も減額できると、評価が高い都内や駅周辺の土地を所有する人にとってはすごいことです。適用できるか否かは大変な問題です。そうすると、あの手この手で何とかこの条件を満たそうといろいろなことを考える人がいたため、非同居親族(家なき子と言われる相続人)について改正されました。平成30年4月1日からです。


小規模宅地等について改正したこと
① 持ち家に居住していない者に係る特定居住用宅地等の特例の対象者の範囲から、以下に該当する者を除外します。
・相続開始前3年以内に、その者の3親等内の親族又はその者と特別の関係の
ある法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者
・相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことが
ある者

 今年から該当しなくなった例です。
・親や同族会社に自分の家を売却して持ち家がないようにした
・知り合いに自分の家を売却して持ち家がないようにして、そこに住む
・遺言書で孫に被相続人の居住用財産を遺贈

これらはあくまでも例なので、他にもいろいろあると思います。本来の法律の趣旨を考えて、これからは気を付けてください。


所得拡大促進税制の改正
従来の所得拡大促進税制は、
①雇用者給与等支給額が基準事業年度(平成24年度)から3%以上増加、
②雇用者給与等支給額が前事業年度以上、
③平均給与等支給額が前事業年度から増加
    以上3つの要件をクリアした場合に適用されていました。

平成30年4月1日~平成33年3月31日までに開始する各事業年度からは、下記のように変更
①平均給与等支給額が前事業年度から1.5%以上増加していること (平均給与:当年≧前年×101.5%) なので、②③は当然クリアしなければ税額控除はできないので要件はただ一つです。
税額控除額は
(当年の給与総額-前年の給与総額)×15% が控除
税額控除の限度額は法人税額(所得税額)×20%

 

 

 


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2018年05月01日