年の中途で死亡した人の所得税の場合は、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、亡くなった日の翌日から4か月以内に申告と納税をしなければなりません。これを準確定申告といいます。
被相続人が消費税の課税事業者(相続が起きた年の前々年における課税売上高が1000万円を超える者)であったときは、同時に消費税の準確定申告の手続きも必要となります。
相続財産について遺産分割が確定していない場合、その相続財産は各共同相続人の共有に属するものとされ、その相続財産から生ずる所得は、各共同相続人にその相続分に応じて帰属するものとなります。
例えば貸付不動産の遺産分割協議が整わないため、共同相続人のうちの特定の人がその収益を管理しているような場合であっても、遺産分割が確定するまでは、共同相続人がその法定相続分に応じて申告することとなります。つまり、相続人全員が不動産所得の申告をすることとなります。
ここで、問題となるのは、それまで事業をしていない相続人が所得税・消費税を申告する場合です。所得税については、「個人事業の開業届出」「所得税の青色申告承認申請」、消費税については、「課税事業者届出書」「課税事業者選択届出書」、「簡易課税制度選択届出書」、「課税期間特例選択届出書」等状況により提出が必要となります。
「個人事業の開業届出」「課税事業者届出書」は、亡くなった後、速やかに提出すればよいのですが、その他の届出書には期限があり、失念するとその適用が受けられなくなり、極めて大切な届出になります。忘れたら大変です。
事業規模で事業をしている納税者にとって青色申告は必須でメリットがいろいろあります。そのためには青色申告承認申請手続を行う必要があります。
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり、不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)ですが、青色申告の承認を受けていた被相続人の事業を相続により承継した場合は、死亡の日の時期に応じて、それぞれ次の期間内に提出します。
1 その死亡の日がその年の1月1日から8月31日までの場合・・・死亡の日から4か月以内
2 その死亡の日がその年の9月1日から10月31日までの場合・・・その年の12月31日まで
3 その死亡の日がその年の11月1日から12月31日までの場合・・・その年の翌年の2月15日まで
上記のように、亡くなった日により期限が異なりますので、要注意です。
なお、所得税の準確定申告をする場合は、死亡した者の平成 年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(兼相続人の代表者指定届出書)、消費税の準確定申告をする場合は、付表6死亡した者の消費税及び地方消費税の確定申告明細書を添付して、相続人全員のマイナンバー・押印が必要になります。