第205号 中小企業倒産防止共済制度の改正

中小企業倒産防止共済制度の改正

  顧問先の多くの方が既に加入されていらっしゃる中小企業倒産防止共済制度は、平成23年10月1日から改正になりました。
中小企業倒産防止共済制度は、取引先企業の倒産の影響によって、中小企業者の方が連鎖倒産や経営難に陥ることを防止するための共済制度で、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営しています。
主な改正は、共済金の貸付限度額が『3,200万円』から『8,000万円』に引き上げられたことです。共済金の貸付金額は、取引先事業者の倒産による「被害額」と「掛金総額の10倍に相当する額(上限8,000万円)」とのいずれか少ない額の範囲内です。
そこで、積み立てることができる掛金の上限が『320万円』から『800万円』に引き上げられました。これにより、平成23年9月末日時点で制度改正前の上限額320万円に達しているご契約者さまについては、掛金納付の再開始の届出により掛金の積立てを再開することができます。なお、平成23年10月以降に掛金総額が320万円に達するご契約者さまについては、掛金の請求は自動的に継続します。「掛止め」は、掛金総額が掛金月額の40倍に達している場合には、320万円未満でも可能です。
また、掛金月額の上限額が『8万円』から『20万円』に引き上げられました。事業の財務内容で増減額できますし、納付した掛金は、個人事業の場合は事業所得の必要経費、会社等の法人の場合は損金に算入することができます。
中小企業倒産防止共済制度は、本来の趣旨に反して大半の会社が節税対策で積み立てていらっしゃるとは思いますが、どんな理由であっても、簿外資産があるのは、企業経営にとって安心・安全なことと思います。


●償還期間はこれまで一律5年でしたが、共済金の貸付限度額が引き上げられたことから、貸付額に応じて次のとおり設定されました。
償還期間には6ヶ月の据置期間が含まれます。

貸付額           償還期間   償還方法
5,000万円未満        5年   54回均等
5,000万円以上6,500万円未満 6年   66回均等
6,500万円以上8,000万円以下 7年   78回均等


●一時貸付
解約手当金の95%を限度額として、30万円以上の5万円単位(5万円未満は切り捨て)で借りることができます。
貸付期間は、1年間で、返済は一括返済です。
利率は、現在年0.9%、延滞利息は、年14.6%です。
支払利息は貸付け時に一括前払いとなり、貸付額から利息を引いた額を支給されます。
貸付けを受けた共済金を当初の約定償還期限より早期に完済して、一定の条件を満たす場合には、早期償還手当金が支給されることになりました。


●この共済制度は、取引先が倒産した場合に、積み立てた掛金総額の10倍を限度に、無利子・無担保・
無保証人で貸付け、中小企業の連鎖倒産を防止する制度です。あたかもタダで貸してくれそうですが、そうではありません。借入金の10分の1に相当する額が、払い込んだ掛金総額から控除されます。つまり掛金の10倍を借りたら、掛け金は戻らないということです。4%弱の支払利息と考えればよいのでしょうか。ご注意ください。





 

 


永嶋税理士事務所通信の内容についてご質問ご意見のある方はご連絡下さい。
過去の永嶋税理士事務所通信をご覧になる場合は、こちらをクリックして下さい。


2011年10月01日