非居住者と源泉徴収
非居住者とは、「居住者」以外の個人をいいます。
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、又は、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいいます。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。ある人の滞在地が2か国以上にわたる場合に、その住所がどこにあるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に「住所の推定」を行うことになります。
「居所」は、「その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
租税条約のある場合は、 具体的には、それぞれの租税条約によらなければなりませんが、一般的には、「恒久的住居」、「利害関係の中心的場所」、「常用の住居」そして「国籍」の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを決めます。
源泉徴収義務
非居住者に対して、日本国内で源泉徴収の対象となる国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際、原則として、所得税を源泉徴収しなければなりません。
国内源泉所得の内容により税率が異なりますが、例えば人的役務の提供事業の対価は20%とか、いろいろな所得の内容に応じて税率は異なります。
その中で、今回私がこのことを取り上げましたのは、非居住者の所有する不動産を賃借する場合や、購入する場合は、特に注意しなければならないと考えたからです。
・土地等の譲渡対価・・・・・・・10%
(ただし、土地等の譲渡対価が1億円以下で、その土地等を自己又はその親族の居住の用に供するために譲り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。)
・ 不動産の賃貸料等・・・・・・・・20%
(ただし、不動産等の賃貸料で、自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものについては、源泉徴収は不要です。)
つまり、非居住者の所有する土地等を購入する場合は、購入対価が1億円超で居住用でない場合は、対価の10%の所得税を源泉徴収しなければなりません。
例えば2億円の土地を非居住者から買うとすると2,000万円を源泉徴収しなければなりません。忘れると、ペナルティとして、不納付加算税を200万円納付することになります。
ですから、取引の相手が非居住者の場合は、注意が必要になります。
短期アルバイトの源泉徴収
パートやアルバイトに、給与を支払う際に源泉徴収する税額は、「給与所得の源泉徴収税額表」の「月額表」又は「日額表」の「甲欄」又は「乙欄」を使って求めます。
給与を勤務した日又は時間によって計算していることのほか、次のいずれかの要件に当てはまる場合には、「日額表」の「丙欄」を使って所得税額を求めます。
(1) 雇用契約の期間があらかじめ定められている場合には、2か月以内であること。
(2) 日々雇い入れている場合には、継続して2か月を超えて支払をしないこと。
したがって、パートやアルバイトに対して日給や時間給で支払う給与は、あらかじめ雇用契約の期間が2か月以内と決められていれば、「日額表」の「丙欄」を使うことになります。
なお、最初の契約期間が2か月以内の場合でも、雇用契約の期間の延長や、再雇用のため2か月を超えることがあります。
この場合には、契約期間が2か月を超えた日から、「日額表」の「丙欄」を使うことができません。
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