第107号 タンス株を特定口座へ、株式の配当金の税金が安くなりました

タンス株を特定口座へ

既にご承知のとおり、今年から上場株式等の源泉分離課税の制度がなくなりました。それに伴い証券税制の改正があっちへ行ったり、こっちへ来たりで、私たち税理士や
証券業界の方々は大変振り回されました。結果、『なんでもあり?』ということに落ち着いたようです。
上場株式等(以下「株式」という。)を売却する場合、従来は黒字の場合、源泉分離課税
を選択すれば課税関係はそれで終了しましたが、これからは次の①②③から選択します。


 ①申告分離課税
 ②特定口座 所得税の源泉徴収なし
 ③特定口座 所得税の源泉徴収あり


①株式を売却したときは、自らが譲渡損益を計算して確定申告をし、納税します。
②証券会社の特定口座に株式を保管して売買します。株式を売却したときは、証券会社
が所得計算してくれますが、源泉徴収されないので、証券会社の作成した資料に基づい
て確定申告をし、納税します。
③証券会社の特定口座に株式を保管して売買します。株式を売却したときは、証券会社
が株式の譲渡損益と税額の計算をし、所得税の源泉徴収または還付をしてくれます。
それで課税関係は終了します。
★③を選択した場合、めんどうな計算や確定申告をしないで済みます。また①や②と
違って確定申告をしないので、専業主婦や被扶養者の場合、株式の譲渡益が所得計算に加算されず、被扶養者の判定や国民健康保険税額の判定に有利になることもあります。
★②や③の場合、株式の売却損益を証券会社に計算してもらうわけですが、株式の取得
価額が不明であると計算できません。そこで証券会社の特定口座に預け入れる際、取得価額をはっきりさせる必要があります。今回の改正の目玉は、この取得価額を決める
ことについて時限的に特例が認められることになりました。
-平成15年4月から平成16年12月末までに限り-
自宅のタンスの中や銀行の貸し金庫の中に保管している株式を、証券会社の特定口座に預けるときの取得価額の算定は、下記の中から選択できます。


 1.実際の取得価額
 2.名義書換日の終値
 3.みなし取得価額(H.13.10.1の終値×80%)


いずれの方法でも預けることができるそうです。


株式の配当金の税金が安くなりました。

今年の4月1日から、上場株式等(以下「株式」という。)の配当金の税金が20%から10%に引き下げられました。高額な配当金でも確定申告の義務はなく、確定申告は任意になりました。配当控除の適用を受けて申告した方が有利と思うときに確定申告します。
ちなみに平成15年4月から20年3月までの配当金については、課税所得が330万円以下の場合申告した方が有利になります。平成20年4月以降は課税所得が700万円以下の場合申告した方が有利になります。

 

 

 


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2003年08月01日