第09号 特別減税、取締役の責任、フレックスタイム

特別減税

昨年に引き続き、今年も特別減税が実施されることになりました。制度としては昨年とほぼ同じなのですが、減税割合が20%→15%になり、最高限度額が200万円→5万円に大巾に下がっておりますので注意下さい。又住民税についても平成7年度の住民税所得割額の15%相当額(2万円が限度)が控除されます。

給与所得者に対する、夏季給与特別減税事務は、平成7年1月~6月までの源泉徴収税額の15%相当額を、原則として6月中に還付することになっていますので、遅くとも6月25日頃までには、当事務所から連絡する予定でおりますが、万一ないときはご連絡下さい。

住民税について特別徴収をしている場合、6月分の給与からは控除しませんのでお気をつけ下さい。

取締役の責任

Aさんは、会社の債権者から突然訴えられてびっくりしました。Aさんは,友人に名義を貸しているいわゆる「名目取締役」です。東京に住むAさんは、大阪の友人に懇願され、名前だけの取締役というや約束で、取締役就任承諾書に著名押印していました。ある日、友人の会社が倒産し、会社債権者が資産家のAさんに「取締役」として責任を求めてきました。この場合、Aさんに「取締役としての責任」があるのでしょうか?

Aさんは、老齢で、会社経営に関する知識もなく、又東京と大阪ということで、取締役会には全く出席せず、取締役としての任務を果たしていませんでした。そこで、会社債権者は、商法266条の3の規定に基づく「取締役の第三者に対する責任」を求めたのでした。

商法の規定

一般に、役員が訴えられるケースとして商法には、2つの規定があります。ひとつは、取締役に対し、その経営上発生した損害を会社債権が追及する「賠償請訴訟」(商法266条の3)です。

もうひとつは取締役が会社に損害を与えたとき、株主が訴えるいわゆる「株主代表訴訟」(商法267条)です。

商法266条の3:取締役がその職務につき悪意又は重大な過失があるときは、その取締役は、第三者に対して連帯して損害賠償の責を負う。

最高裁判決

過去に似た事例が相次ぎました。いわば「取られるところから取る」という発想です。そこで続発する訴訟に対し、最高裁は交通整理する必要に迫られ、昭和44年11月「・・・・・・取締役の重過失等により第三者に対し損害を与えたときはその損害と相当因果関係があれば賠償義務を負う・・・・・・」として、見解を統一しました。

話を元に戻しますが、結局Aさんの取締役としての任務懈怠を認める一方、なお職務上重大な過失があったとは認められないとして、その賠償責任は否定されました。

名目的とはいえ、取締役に就任した以上、その責任は、明確であり、病気、老齢は理由になりません。多忙、業務の無知なども辞任、就任を拒絶すべき理由であり、その責任を軽減する理由とはならないと思われます。

下級審では依然としてその責任を否定するものが多いのですが、株主代表訴訟の新解釈などの商法は、取締役の責任を問う流れにあると思われ、今後とも取締役の責任について留意すべきと思われます。

フレックスタイム

永嶋事務所の始業時間を、5月より午前9時30分としました。電車通勤の職員のため混雑が緩和されてからの出勤のほうが、仕事の能率アアップにつながると考えたからです。

5月から若い女性が2名入社しました。

内藤一恵さんと山田愛さんです。よろしくお願いします。




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1995年06月01日