税効果会計
公開会社について、今年の4月1日以後開始する事業年度から税効果会計が強制適用されることとなりました。公開会社ということなので、私たちには関係ないと思いますが、企業会計審議会の「商法と企業会計の調整に関する研究会の報告書」では、すべての会社において、商法上も税効果会計を適用することが適当である旨が述べられています。
そこで今月は、税効果会計の基礎の基礎ということで少し取り上げてみます。
1.税効果会計とは
企業会計上の利益または費用と、法人税を計算する時の益金と損金を認識する時点が異なるため、企業会計上の資産または負債と法人税法上の資産または負債の額に相違がある場合、税金は法人税法によって計算するわけですから、企業会計上の損益が実情に合わないことがありました。今まである意味では、企業会計上の当期利益を動かすことが可能でした。最終的に業績を判断する指標としての当期純利益を正しく計算するため、株主に対し正しい処分可能な利益を算出するため税効果会計が必要とされたのです。
2.企業会計上と法人税法上の相違
これは、たくさんあって一言ではいえませんが、今回は基礎の基礎なのでひとつの例を述べましょう。
A社の例を取り上げてみましょう。
当期の税引前利益は、1,400,000円ですが、倒産しそうかなというB社の売掛金400,000円がありました。
経理担当者は、貸倒引当金として400,000円計上しましたので、当期の税引前利益は、損益計算書上1,000,000円になりました。
法人税法上この400,000円は、損金になりませんので、所得金額は1,400,000円になります。
実効税率(法人税・住民税・事業税などの税金の合計)50%として計算しますと、700,000円の税金になります。したがって当期純利益は、300,000円になりました。
しかし、多分B社は、遅かれ早かれ倒産すると思われますから、次期以降に売掛金400,000円分の税金200,000円は戻る形になります。
そこで、200,000円を法人税等調整額として、法人税等の税金の下に表示します。
当期税引前利益
1,000,000円
法 人 税 等
△700,000円
法人税等調整額
200,000円
当 期 純 利 益
500,000円
仕訳としては繰延税金資産 200,000円、法人税等調整額 200,000円となります。
税効果会計を適用しない場合の当期純利益は、300,000円となります。
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