第268号 消費税軽減税率

あけましておめでとうございます

 昨年は驚くことが沢山ありました。英国6月のEU離脱の国民投票、7月に初めて女性都知事小池百合子氏が当選、11月のアメリカ大統領選で、共和党のトランプ氏が当選しました。
政府は、デフレ脱却と経済再生を掲げてきましたが、経済格差が広がり、特に若者については、将来への希望が持てない者が多く、子供の貧困率は6~7人に1人となっており、日本の先行きが心配です。
それでも私たちは、日々の困難を乗り越え、笑顔・笑顔で毎日を過ごしましょう。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
酉年 元旦

 

消費税軽減税率

今年4月に予定していた消費税率10%への引き上げを、平成 31年 10月まで 2年半延期されました。
 少子高齢化により、現役世代が減っていく一方、高齢者は増えていきます。社会保障財源のために所得税や法人税の引上げを行えば、一層現役世代に負担が集中することとなります。政府は、特定の者に負担が集中せず、高齢者を含めて国民全体で広く負担する消費税が、高齢化社会における社会保障の財源にふさわしいと、消費税率10%への引き上げを決めました。
このことは理解できます。しかし、私は、この10%引き上げ時に軽減税率を導入しようとすることに反対です。「軽減税率制度」は、平成 31 年 10 月1日以降に行う飲食料品(酒類を除く。)と週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)の譲渡を対象として実施されます。消費税及び地方消費税を合わせた税率が、軽減税率8%(消費税 6.24%、地方消費税 1.76%)と標準税率 10%(消費税7.8%、地方消費税 2.2%)の複数税率になります。
なお、飲食料品の譲渡には、いわゆる「外食」や「ケータリング」は含まれません。わかりにくいのです。


8%になるもの「外食」にならないものの例示
牛丼屋・ハンバーガー店のテイクアウト、そばやの出前、ピザの宅配、屋台での軽食
(テーブル椅子等の飲食設備がない場合) 寿司屋のお土産、コンビニの弁当・惣菜

10%になるもの「外食」になるものの例示
牛丼屋・ハンバーガー店の「店内飲食」、そばやの「店内飲食」、ピザ屋の「店内飲食」、
フードコートでの飲食、寿司屋での「店内飲食」、
コンビニのイートインコーナーでの飲食を前提に提供される飲食料品
(トレイに載せて座席まで運ばれる返却の必要がある食器に盛られた食品)
ケータリング・出張料理

複雑で実務の現場では相当なトラブルが生じる可能性があります。国税庁からQ&Aが出ています。 http://www.nta.go.jp/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/03.pdf

その品物やサービスが軽減税率の対象になるかならないかは、消費税の先輩国のヨーロッパでは、常に問題になっています。
何故、「軽減税率制度」を設けるのかというと、経済的弱者に負担がかからないようにするということですが、本当にそうでしょうか?
私は、裕福な者がより多くの利益を受けると思います。高級な食材を毎日買っている人が年間500万円使ったら、2%は10万円です。経済的弱者が安い食材を買ったら、多くても年間50万円で、2%は1万円です。
つまり、「軽減税率制度」は、経済的弱者対策より裕福な者が恩恵を受けるということです。
その上、「軽減税率制度」が導入されると、中小零細企業にとって、設備投資や営業上、経理上の負担が大きくなります。経済的弱者や中小零細企業いずれの者のことを考えれば、他の法律で対応すればよいと思います。
小池都知事は、私立高校生の学費実質0円を、所得の少ない家庭に実施したいと考えていらっしゃるとのことです。優秀な財務省の官吏が考えれば、軽減の2%分の消費税は、1兆円にもなるとのことなので、それを財源にして他の方法で何とかすることを考えていただきたいと思います。


 


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2017年01月01日