第258号  28年度税制改正、自己破産と非免責債権、建物付属設備の減価償却は定額法に

28年度税制改正

 28年度の税制改正関連法案です。昨年に比べ大きな改正はありませんが、経済の好循環を確実なものとする観点から「法人税の実効税率」について、4月から始まる事業年度から、現在の32.11%から29.97%に引き下げられます。法人税率としては、23.4%になります。また消費税については、来年4月に消費税率を10%に引き上げることができるのか否かいろいろ噂されている中、消費税率引上げに伴う低所得者への配慮として、来年4月から消費税に「軽減税率」を導入し、対象品目を、飲食料品(酒類と外食を除く)のほか、定期購読の契約をした新聞(週2回以上発行されるもの)とします。

所得税については、空き家対策としての税額控除や、働きながら子育てする人を支援する三世代同居のための改修工事についての税額控除などが可決されました。通勤手当の所得税の非課税限度額を、現行の月10万円から15万円まで引き上げることになります。東京⇔静岡の新幹線の1か月の定期代は、133,860円です。遠くから通勤している人がいらっしゃるということですね。ただし、グリーン料金は適用にならないので、お気を付け下さい。

まだ先のことですが、平成33年度から消費税額を計算する際、現在使われている「帳簿方式」から、事業者の納税額を正確に把握することができる、「インボイス方式」に変更することになります。「インボイス方式」が導入されますと、免税業者から購入する事業者が激減すると思われますので、中小零細業者の対応が苦慮されます。


自己破産と非免責債権

 ある女性Aが、占い師のマインドコントロールにより、風俗嬢として働かせられ、その占い師は、巨額の収入を獲得し、女性Aには食べるものにも事欠くような微々たる金額を渡していました。その収入に対して国税局は、女性Aに巨額の課税をしました。女性Aには全く納税資金がありませんし、何を言われているのかわかりません。占い師は、私は全く知らないと言い張ります。

 この場合、女性Aは、自己破産すれば解決するのではないかというと、課税を逃れることはできません。自己破産をすれば、今までの借金はすべて無くなると思っておられる方が多いのではと考え、今月のテーマに取上げました。

自己破産の申し立てをしても、免責が許されないという「免責不許可決定」がなされることがあります。免責不許可ということは、借金の支払い義務がなくならないということです。詐術を用いて信用取引により財産を取得した場合や、浪費又は賭博その他が原因の借金については、免責が認められず、すべての借金が残ってしまうこととなる場合があります。(破産法252条)

自己破産の手続きをして、上記の免責不許可事由がなければ、裁判所で免責決定がなされ、原則としてすべての債務の支払い義務がなくなりますが、例外的に、免責されない債権があります。自己破産しても免責されない債権「非免責債権」です。たとえば、租税等の請求権、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権、夫婦間の協力及び扶助の義務、雇用関係に基づいて生じた使用人の請求権及び使用人の預り金の返還請求権、罰金等の請求権その他です。(破産法253条)

なので、税金は支払わなければなりません。


建物付属設備の減価償却は定額法に

 平成28年4月1日以後取得をする建物付属設備及び構築物の償却の方法について、定率法を廃止し、定額法のみとなりました。取得には、購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈又は贈与によるものも含まれますから、平成28年4月1日以後に相続などにより取得した建物の償却方法は、定額法のみになります。車両や工具器具備品の償却方法もいずれは定額法のみになるのでしょうか。


 


永嶋税理士事務所通信の内容についてご質問ご意見のある方はご連絡下さい。
過去の永嶋税理士事務所通信をご覧になる場合は、こちらをクリックして下さい。


2016年03月01日